artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

MOTアニュアル2014フラグメント──未完のはじまり──

会期:2014/02/15~2014/05/11

東京都現代美術館 企画展示室3F[東京都]

東京都現代美術館の『MOTアニュアル2014フラグメント』展へ。今回はタイトルがまさに各作品を串刺しにするテーマとなっている。また展示デザインや空間構成も良い。高田安規子・政子によるスケールや素材を横断するミニチュア細工が興味深い。福田尚代は本と文具を操作、青田真也は表面を削った静物画、パラモデルは地下鉄の駅をどんどんつなぐ。
写真:上から、パラモデル《キソまたはウソの模型》、高田安規子・政子《修復》

2014/05/05(月)(五十嵐太郎)

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ふじのくに⇄せかい演劇祭 演劇公演『Jerk(ジャーク)』

会期:2014/05/03~2014/05/04

舞台芸術公園 稽古場 Boxシアター[静岡県]

ジゼル・ヴィエンヌ演出の『Jerk』には度肝を抜かれた。27人の少年を殺したテキサスのゲイの実話をもとにした作品である。椅子に座った一人の俳優が、人形劇や腹話術、観者に要請するテキストの黙読などを通じて、連続殺人事件を再現する。ぬいぐるみや人形なのに、おぞましい猟奇殺人の現場が生々しく伝わる。『Jerk』は、聴衆に語りかける形式ゆえに、観者も否応なく芝居の一部に引きずり込まれ、最後はここが監獄なのか精神病院なのかという疑問が生じ、これまで語られた内容に別の解釈も浮かぶ。人形に生命を与えながら、人をモノとして扱う犯罪を表現する、俳優ジョナタン・カプドゥヴィエルの演技力に感心させられた。

写真:磯崎新《静岡県舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」》

2014/05/04(日)(五十嵐太郎)

ふじのくに⇄せかい演劇祭 『マネキンに恋して──ショールーム・ダミーズ──』

会期:2014/05/03~2014/05/04

静岡県芸術劇場[静岡県]

静岡のふじのくに⇄せかい演劇祭へ。自ら人形を制作するジゼル・ヴィエンヌ演出の『マネキンに恋して』を観る。マゾッホの『毛皮のヴィーナス』に着想をえた作品で、仮面とハイヒールの女性ダンサーが男のまわりで踊る。当初は人間とみまがう幾つものマネキンが舞台の背景に置かれるのだが、終始、動かないのに異様な存在感を維持していた。

2014/05/04(日)(五十嵐太郎)

403architecture[dajiba]

会期:2014/03/21~2014/05/11

[静岡県]

浜松に向い、辻琢磨の案内で、403Architectureの仕事を拝見する。市街地のリノベーションやインテリアの物件が多い。彼らのオフィス、美容室、倉庫、ギャラリー、衣服店、眼鏡店など、計6件をまわった。古材を再編集し、その場所と意味を変えていく表皮のデザインと、東京とは異なる地元のネットワークが生む空間が印象的である。

2014/05/04(日)(五十嵐太郎)

有設計室/川口有子+鄭仁愉《市原湖畔美術館》

市原湖畔美術館[千葉県]

市原湖畔美術館は、有設計室/川口有子+鄭仁愉によるリノベーションだ。コンクリートが弧を描く、懐かしい80年代的空間に対し、ゼロ年代的なポコポコの箱をばらまき、両者をぶつける/ケンカさせるような介入であり、あちこちに複雑な場を生む。アーツ前橋もそうだが、近過去のリノベはこれから重要になるだろう。個人的にポストモダンのリノベーションは興味あるテーマで、あいちトリエンナーレでは青木淳に黒川紀章建築の仮設的なリノベを依頼した。こちらは対決型ではなく、オリジナルへのリスペクトを行なうもの。千葉学による大多喜町役場の増築・改修も、軸線を介して、過去と現在をつなぐ。

2014/05/02(金)(五十嵐太郎)