artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
《掬月亭》
[香川県]
早稲田大・中谷礼仁研による柱間装置の文化誌プロジェクトで制作した映像が素晴らしかったので、高松に戻り、栗林公園の《掬月亭》に足を運ぶ。必ずしも知名度の高い文化財ではないが、映像だけでなく、確かに実物の空間が素晴らしい! ちょうど雨戸を閉めるタイミングに遭遇した。しかし、ここにも容赦なく、ポケストップがある。
http://madoken.jp/research/study-on-hashirama-sochi/802/
2016/08/12(金)(五十嵐太郎)
《丸亀市立城乾小学校》ほか
[香川県]
続いて、毛綱毅曠が手がけた小学校を見る。これは激しい造形のポストモダンだ。そして2階にカリアテッド=女性像柱が並ぶため、前々から個人的に「丸亀エレクテイオン」と命名している駅前の小さな店舗が、テナント募集ながら、かろうじてまだ存在していることを確認した。経済のサイクルが激しい大都市なら、とっくに壊されているはず。
写真:上=《丸亀市立城乾小学校》 下=丸亀エレクテイオン
2016/08/12(金)(五十嵐太郎)
《丸亀市猪熊弦一郎現代美術館》
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館[香川県]
四国に移動し、久しぶりに《丸亀市猪熊弦一郎現代美術館》へ。谷口吉生によるMoMAのリニューアルを見てからは初めての訪問だったので、空間の共通性が強く感じられる。ただし、丸亀の館内はニューヨークと違い、人で混雑しない。ザ地方都市の駅前で奇跡的な美しさを発揮している。また美術館と図書館を現代風に融合させず、明快に分離し、純度の高いアートスペースを確保している。金氏徹平の個展は谷口の空間と格闘していた。
写真:左=《丸亀市猪熊弦一郎現代美術館》 右上=金氏徹平のメルカトル・メンブレン 右下=《丸亀市立図書館》
2016/08/12(金)(五十嵐太郎)
東北大五十嵐研ゼミ合宿《恋する豚研究所》
[千葉県]
竣工:2013年
続いて、同じく福祉楽団とアトリエ・ワンによる《恋する豚研究所》へ。まず2階のレストランで豚しゃぶ定食をいただく。建築の見学と食事がセットになる体験は楽しい。通常のロードサイド施設とは逆に、道路側に建築、奥に駐車場を置く。またヴォリュームを軽減すべく、4つの屋根に分けたヴィラがイメージされている。2階はほかに広場とオフィス、1階は工場であり、創造的に障害者の就業支援を行なう場を創出している。
2016/08/09(火)(五十嵐太郎)
東北大五十嵐研ゼミ合宿《多古新町ハウス》
[千葉県]
竣工:2013年
2日目はアトリエ・ワンによる《多古新町ハウス》へ。近くの神社を意識して連続する赤い軒下を共有し、L字型に配置したデイサービスに、24時間オープンの寺子屋を設け、地域に開く。3.11の震災で近くの図書館が使えなくなったらしいが、訪れたときも地元の学生が数名たむろしていた。事業主の福祉楽団の意向で、公共建築以上に公共的な場になっている。高校球児も下宿するフレキシブルな活用も興味深い。
2016/08/09(火)(五十嵐太郎)