artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
千葉学建築計画事務所《釜石天神町復興公営住宅》ほか
[岩手県]
竣工:2016年
釜石では千葉学が手がけた復興住宅を幾つか見る。いずれも同系の色を使い、離れていても視界には入るので、仲間の建築だとわかる感じが興味深い。完成したばかりの大町1号復興住宅の一階は、通り抜け可能な場をまちに提供する。部屋は外周の通路側に閉じず、縁側的なイメージである。立体的に構成された各棟をめぐる体験が楽しい。
写真:左列=大町1号復興住宅 右列=千葉による別の復興住宅
2016/07/17(日)(五十嵐太郎)
伊東豊雄建築設計事務所《釜石「みんなのひろば」》、伊東豊雄建築設計事務所、アトリエ・天工人、Ma設計事務所《釜石漁師のみんなの家》
[岩手県]
釜石の鵜住居へ。本当は宝来館に泊まりたかったが、再訪すると、満員で元気にやっていた。釜石みんなの広場は、ナイキとArchitecture For Humanityの協力で、仮設小学校と中学校のグランドを整備し、クラブハウスを建設したもの。二階のテラスからスポーツを眺める。続いて、釜石漁師のみんなの家へ。ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展2010で金獅子賞をとったバーレーンの漁師小屋を、都現美の展示を経て移築し、釜石バージョンにアレンジしたものである。ヴェネツィアで見たときから、だいぶ小さくかわいらしくなった。その横にアトリエ・天工人による隣のテイストを継承した小屋も建つ。
写真:左上2枚=《宝来館》、左下・右上=《釜石みんなの広場》 右下3枚=《釜石漁師のみんなの家》
2016/07/16(土)(五十嵐太郎)
旧大槌町役場庁舎
[岩手県]
大槌では、赤浜の記憶をたどりながら、猛烈な土木工事が進むエリアを見て、震災遺構となった旧大槌町役場に足を運ぶ。これも完全に柵で囲まれ、まわりから見下ろす。ということは、その道路の高さの分だけかさ上げされているわけだが、駅や火で焼けただれた街並みは完全に消えた。近くには妙に和風の復興集合住宅が建つ。
写真:上=大槌町 下2枚=旧大槌町役場
2016/07/16(土)(五十嵐太郎)
白川在建築設計事務所《N VILLAGE》
[岩手県]
竣工:2015年
大槌へ向かう途中、浪板海岸にて白川在が設計したN VILLAGEを見る。カフェ、サーフショップ、集会所などの複合施設で、尖った家型の大小のシルエットが5つ並ぶ。現物は写真の想像よりも大きい。が、それによって防風林に面し、海と山に挟まれた場所においてちょうどよいスケールだと感じられた。
2016/07/16(土)(五十嵐太郎)
山田町
[岩手県]
山田町は、大杉神社が残っており、廃墟のなかで鳥居がたっていた風景を思い出す。周囲はほぼ更地で、この神社の存在が以前目撃したのと同じ場所だという確信を与える。蔵や一部のビルも残っていた。消えた駅や線路の周辺は、かさ上げした土地の上に復興集合住宅群を建設中である。それを挟んで両側に仮設商店街が配置されていた。
写真:左=上から、山田町概観、大杉神社、山田町に残る蔵やビル 右=上から、復興住宅、仮設商店街
2016/07/16(土)(五十嵐太郎)