artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
ギャラリートーク in「空気展 -what is “kuuki” in Architecture? 若手建築家5名による展覧会
会期:2015/11/27
東北大学にて、ギャラリー・間の展覧会に出品している中国人建築家チャオ・ヤンと空気展のメンバーとのギャラリートークを行なう。前半は、同じくU-35の世代である日本の若手建築家が作品を説明し、コメントのやりとり、後半は逆に中国の建築や土地の状況についても質問がなされ、相互に意見交換を行なう。続いて「アジアの日常から」展の関連企画として、チャオ・ヤンの講演会「Rural Intervention」が開催された。大都市ではなく、あえて地域で活動することで、テクトニックなアプローチからディテールも決めるデザインである。細かい環境の読み取りや使い手とのやりとりは、日本の建築とも共通していた。
2015/11/27(金)(五十嵐太郎)
アイデアコンペ第二次審査「太陽の塔に対峙せよ!」
会期:2015/11/26
岡本太郎記念館[東京都]
岡本太郎記念館にて、椹木野衣、藤本壮介、平野暁臣、五十嵐による「太陽の塔に対峙せよ!」コンペの公開審査を行なう。ファイナリスト7名のプレゼと質疑応答を経て、最優秀を決定する。建築の審査も、アートの審査も経験したが、その両者が混じったあまりないタイプの場になった。建築サイドはやや固めだったが、それを突抜け、詳細図や構造解析まで提示し、逆に異様さを引き出す、社会人が休みに集まった山田文宏チームの「体漂の塔」が最優秀に選ばれた。この案は命がけで体漂の塔内を登り、手足と顔を壁の外に出して、むき出しの身体で太陽の塔と向き合う。応募案では意外と少ない直球勝負である。特別賞は、塔をバイオマス発電所化する万博公園牧場化計画の大坪良樹となった。ほかに気になったものは以下のとおり。宮崎宏康のパーフェクト・エコーは、太陽の塔が宇宙に浮かび、それを半径340mの球体で包む。中心から叫び、すべての音がやまびこで跳ね返ると、爆発が起きるかもしれない。そして中村宏大による太陽の塔がゲロを吐く。涙を流しながら、消化不良をおこした太陽の塔がソーダを噴出するというもの。
写真:手前=《体漂の塔》、奥=《樹形夢─万博公園牧場化計画─》
2015/11/26(木)(五十嵐太郎)
プレビュー:山本爲三郎没後50年 三國荘展
会期:2015/12/22~2016/03/13
アサヒビール大山崎山荘美術館[京都府]
アサヒビール初代社長・山本爲三郎(1893~1966)の没後50年を記念し、彼が民藝運動をあつく支援した証でもある「三國荘」を再考する。三國荘とは、民藝運動を主導した柳宗悦らが1928年の御大礼記念国産振興東京博覧会に出品したパビリオン「民藝館」を、山本が博覧会後に買い取り、大阪・三国の自邸に移築したもの。室内には、全国から蒐集した家具調度、河井寛次郎、濱田庄司、青田五良、黒田辰秋らの作品が並べられ、山本の日常生活の場であると同時に初期民藝運動の拠点として機能した。本展では、山本家からアサヒビール大山崎山荘美術館に寄贈された三國荘ゆかりの品々を一挙公開。また、河井、濱田、バーナード・リーチらの初期作品が展示されるほか、三國荘の応接室と主人室の再現も試みられる。
2015/11/25(水)(小吹隆文)
《十和田市民交流プラザ》
[青森県]
竣工:2015年
商店街を歩くと、近藤哲雄によるpodなどのストリートファニチャーも新しく点在している。そして隈研吾による《十和田市民交流プラザ》は、小さな家型の集合体を「鉄板」のルーバーで包む(鉄ではなく、杉を使う。念のため)。内部は、外観からは想像できないほど、小さな街のように複雑に空間が展開する。午後は、ここで恒例のJIA東北住宅大賞の公開審査を古谷誠章と共に行なう。今年は例年より多い35作品の応募があり、賞の継続ゆえに、そのレベルもさらに上がっている。学生の作品と違い、プロの建築家が設計した住宅。しかも本人たちの目の前で現地審査対象作品を絞り込む作業は大変である。
写真:左上=隈研吾《十和田市民交流プラザ》(外観)、左中/左下/右下=同(内観)、右上=近藤哲雄《pot》、右中=日高恵理香《商店街の雲》
2015/11/21(土)(五十嵐太郎)
《十和田市民図書館》
[青森県]
竣工:2014年
十和田の官庁街通りには、最近、安藤忠雄が設計した《十和田市民図書館》もオープンした。街路に対して長いガラス面で閲覧者が見え、奥に引き込んでから、室内に入る。低層だが、細長いコンクリートのヴォリュームと、上部から採光するサンルームを抱えた大きな片流れの屋根の組み合わせが、印象的なシルエットをつくる。
写真:左上/左下/右上=安藤忠雄《十和田市民図書館》(外観)、右下=同(内観)
2015/11/21(土)(五十嵐太郎)