artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
みなでつくる方法 吉阪隆正+U研究室の建築
会期:2015/12/03~2016/03/13
国立近現代建築資料館[東京都]
ドローイングのほか、《八王子大学セミナー・ハウス》の巨大模型、《日仏会館》の手摺や建具などの立体もあり、バラエティに富む気合いの入った内容だった。手描き図面は、犬や猫もいる! 外構、赤ん坊も描かれた室内、家具の緻密な書き込みが印象的である。コンピュータが当たり前になったからこそ、メディアの差が際立ち、手描きの特徴やよさがより理解しやすくなったかもしれない。
2016/01/15(金)(五十嵐太郎)
旧岩崎邸庭園
[東京都]
国立近現代建築資料館に入るのに、旧岩崎邸庭園を経由した。考えてみると、学生のとき以来の訪問であり、鈴木博之先生の演習だったかもしれない。その後、ヨーロッパで相当数の様式建築を見たので、コンドルによる細部の変容、あるいは誤用? がよくわかる。それにしても、和館と庭をつなぐ石のデカイことに驚かされた。
2016/01/15(金)(五十嵐太郎)
横浜にぎわい座十二月・正月興行連続公演「年末年始志ん輔三昧」年始の会
会期:2016/01/09
横浜にぎわい座 芸能ホール[神奈川県]
久しぶりに野毛に寄って、横浜にぎわい座へ。古今亭志ん輔、古今亭駒次ら、三人が出演したが、落語は初心者に対しても、笑えるかどうかという判断から、うまいかどうかがわりと簡単に感じられる話芸であり、恐ろしいジャンルだ。なお、この建物のデザインがひどい。エントランスの吹抜けとか、手抜きのデザインである。が、こうした建築のデザインはリテラシーのハードルが高く、一般の人はあまり気づかないのだろう。
2016/01/09(土)(五十嵐太郎)
成田国際空港第3ターミナル(LCC専用ターミナル)
[千葉県]
竣工:2015年3月
成田空港にて、新しく登場したLCC対応の第三ターミナルに寄る。日建設計ほかがコストをかなり抑えてデザインしたものだが、歩く歩道を敷設できない代わりの陸上トラックのレーン(楽しさ、視認性、耐久性)、くつろげる居場所をつくる什器など、楽しさを感じさせる工夫がいっぱい。2015年のグッドデザイン賞の金賞を獲得したが、大賞候補になってもよかったと思う。
2016/01/04(月)(五十嵐太郎)
フランク・ロイド・ライトのスタジオ見学ツアー
[アメリカ、シカゴ]
シカゴ郊外のオークパークは、19世紀末に新興住宅地となり、当初はクイーン・アン様式が主流だったが、ライトが住宅とスタジオを構えてから、次々と彼の手がけた建築が周囲に増殖した。北海道の佐呂間の街を訪れたとき、五十嵐淳さんが設計した住宅があちこちに増えていたが、ここも将来オークパークみたいになるかもしれない。ライトの住宅とスタジオの見学ツアーに参加した。自邸ならではの実験性、増改築が生み出す複雑性、日本の影響など、とても見所が多い建築である。細かいこだわりは、藤井厚二の聴竹居なども想起させる。でも、施主の妻が気に入るような場も多く、なるほど若手ながら、これで周囲の仕事を獲得したのかと納得させられた。
2016/01/02(土)(五十嵐太郎)