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建築に関するレビュー/プレビュー

Wien Die Perle des Reiches - Planen für Hitler

会期:2015/03/19~2015/08/17

ウィーン建築センター[オーストリア、ウィーン]

ミュージアムクォーターにあるウィーン建築センターへ。常設の展示は前と同じである。いつ訪れても、その国の建築の歴史を振り返ることができる展示があるのはうらやましい。日本には、それがないからだ。企画のエリアでは、建築やデザインの比重が高いウィーン・ビエンナーレ2015に合わせたラカトン&ヴァッサルらが参加した都市再開発のコンペを展示している。またドイツ帝国の「真珠」と呼ばれ、ヒトラー統治時のウィーンの建築・都市の企画展も開催していたが、資料も充実していた。この都市では、すでに彼好みの壮麗なリンクの建築群があり、鉤十字や鷹のシンボルを足すだけで風景が変化していたのは興味深い。それに飽き足らず、新規の建築群、交通・都市・住宅計画などさまざまなプロジェクトが動いていた。おそらく建築家にとっても魅力的な大改造だったのだろう。

写真:上から、ウィーン建築センター、ラカトン&ヴァッサルらが参加した都市再開発のコンペ

2015/06/19(金)(五十嵐太郎)

Neustiftgasse 40

[オーストリア、ウィーン]

竣工:1898年/1899年

8年ぶりにウィーンを訪れた。未見だったオットー・ワグナーによるD blergasse-Neustiftgasseのアパートを見学する。ファサードは、彼特有のかわいらしい破線が縁を囲んだり、金属鋲のアクセントが目立つ。古典主義系の隣の建物との連続性に配慮しつつ、表面のグラフィック化を強く志向する建築だ。

2015/06/19(金)(五十嵐太郎)

富山大学芸術文化学部 貴志雅樹・横山天心研究室《新高岡駅高架下利便施設》

[富山県]

竣工:2015年

開通してから初の北陸新幹線に乗る。富山駅は整備され、雨に濡れず、すぐライトレールに乗り継げる明快な交通システムを強調していたが、なるほど、これは便利である。多くの観光客で賑わう、高岡の瑞龍寺を見学する。印象的な回廊を巧みに配しながら、多くの要素=棟が統合された、見事な伽藍配置だった。外観は禅宗様、和様を使い、中央の仏殿の内部はダイナミックな構造である。新高岡駅の高架下の空間は、横山天心が設計し、土木スケールを建築スケールに調整するデザインだった。

写真:上=《瑞龍寺》、下=新高岡駅の高架下

2015/06/17(水)(五十嵐太郎)

トーマス・デマンド「Model Studies(Koto-ku)」

会期:2015/05/22~2015/06/27

タカ・イシイギャラリー東京[東京都]

北参道へ。ここに拠点を移したタカ・イシイギャラリーのトーマス・デマンド展を見る。SANAAの模型を題材とするが、さすがに今回は模型の模型ではなく、事務所の模型を撮影したものだった。ちなみに、向かいはGAギャラリーである。タカ・イシイと同じビルの反対側では、小山登美夫ギャラリーがジェイムズ・キャッスル展を開催し、独特の小品群を展示していた。ここに近づく、アプローチ空間のデザインが興味深い。

2015/06/13(土)(五十嵐太郎)

イオンモールKYOTO

[京都府]

京都芸大のレクチャーで立ち寄った桂川駅の真横にも、新しいイオンモールが誕生していたが、前々から気になっていた京都駅すぐそばのイオンモールに足を運んだ。内部の空間はあまりダイナミックではない。が、京都駅ビルに呼応するような屋外の大階段をのぼりきって、振り返ると、目線と合う、ちょうどいい高さで新幹線が走っている。おそらく、ここが見せ場なのだろう。

2015/06/08(月)(五十嵐太郎)