artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

このはなアリーナ

[静岡県]

竣工:2015年

静岡にて、内藤廣が設計した《このはなアリーナ》を見学する。下部のRC造は、外から盛り土でほぼ隠され、威圧感を減じている。その上に免震層とRCの大きなリングをはさみ、15mの集成材×256本が斜めに立ち上がる。さらに頂部は鉄骨トラスになったハイブリッド構造の力作だ。体育館だが、外部に閉じることなく、エントランスのレベルはガラスで囲まれており、まわりの街並みが見える開放的な空間をもつ。屋根は、近くの登呂遺跡の竪穴式住居も想起させる原初的な形態であるが、遠くを眺めると、周囲の山々とも呼応している。

写真=上から、このはなアリーナ正面、このはなアリーナ内観、このはなアリーナ模型、登呂遺跡遠景

2015/05/23(土)(五十嵐太郎)

BankARTスクール2015 横浜建築家列伝vol.1 五十嵐太郎+磯達雄 ゲスト曽我部昌史

BankART Studio NYK[神奈川県]

BankARTスクールの横浜建築家列伝にて、みかんぐみの曽我部昌史さんを招き、横浜関係のプロジェクトを紹介していただく。2005年からみかんぐみは横浜に移転し、横浜トリエンナーレやBankARTなど、アート関係の仕事が増え、神奈川大学の研究室では、寿町や黄金町のプロジェクトも展開した。ただし、2009年の開国博Y150のパヴィリオンを含めて、仮設的なものが続き、最近、ようやく学校など公共施設の仕事も手がけるようになった。公共施設の仕事から地域への還元にシフトした飯田善彦とは、逆の順番である。

2015/05/15(金)(五十嵐太郎)

BankARTスクール2015 横浜建築家列伝vol.1 五十嵐太郎+磯達雄 ゲスト飯田善彦

BankART Studio NYK[神奈川県]

磯達雄と担当するBankARTスクール「横浜建築家列伝」の講座で、飯田善彦を招き、お話しをうかがう。横浜国大の出身だが、学生時代はそれほど街とのかかわりはなく、むしろ事務所を横浜に移した頃からの横浜のプロジェクトを紹介する。確かに、横浜市がデザイン性のある都市計画を行ない、建築家に仕事を積極的に依頼していた時期があった。最近は飯田事務所をカフェやイベントで開放し、まちとつなぐ試みも行なう。

2015/05/08(金)(五十嵐太郎)

大分県立美術館

大分県立美術館[大分県]

四月末オープンした、坂茂の設計による大分県立美術館へ。日建設計が手がけた向かいの大きなガラス張り建築と呼応しながら、都市に対して透明な開放的な空間をつくる。前面のガラスが開く状態を見ることはできなかったが、坂らしい明快な構成、積極的な木の使用、そして紙管を使うインテリアだ。展示室はオーソドックスな矩形になっており、建築は現代的な明るさをもたらす。レストランもよい。

2015/05/07(木)(五十嵐太郎)

JRおおいたシティ/大分駅ビル

[大分県]

大分へ。JRおおいたシティが、2015年春に開業し、やたらと巨大な複合駅ビルが出現している。駅が本気を出すと、まわりの小店舗は戦々恐々だろう。ただ、神社やミニ鉄道など、屋上の仕掛けをはじめとして、完全にJR博多シティ/アミュプラザ博多の縮小版になっているのは疑問だ。大分にも博多と同じものを、という近場の成功した開発の安直なコピーでなく、もう少し違うことを試みるべきではないか。

2015/05/07(木)(五十嵐太郎)