artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

芹沢銈介の家

[静岡県]

竣工:1987年

ちょうど芹沢銈介の家が公開されていたので、初めて見学した。宮城県の登米市にあった板倉の建築を移築して、東京・蒲田の自邸として使っていたもので、さらに静岡に移築して現在の場所に落ち着く。改装におけるデザインの操作は少ない。登呂の博物館、濃い石水館の隣にあると、余計に清々しい建築だと感じる。芹沢のデザインによる鉄製の椅子もカッコいい。

2015/05/05(火)(五十嵐太郎)

芹沢銈介美術館本館(石水館)

芹沢けい介美術館[静岡県]

竣工:1981年

三度目の芹沢銈介美術館へ。白井晟一(白井晟一研究所)が設計した石水館である。プランはコの字型の一筆書きになっており、意外に機能的な動線だが、およそ普通の展示室らしくない、ユニークな空間という印象は変わらない。過剰に素材感のあるエクステリアと、傾斜した天井やアーチが続くインテリアをそれぞれ別個にデザインし、あえて「建築的」な統合がないと言うべきか。

2015/05/05(火)(五十嵐太郎)

静岡市立登呂博物館

静岡市立登呂博物館[静岡県]

新しい伝統になるかもしれない、静岡のサンバカーニバルのオープニングを見てから、静岡市立登呂博物館へ。隣の遺跡と一体化し、復元や模型のほか、発掘当時の様子を伝えるさまざまな資料があり、興味深い展示だ。が、この建物のデザインはひどい。屋外の登呂遺跡と住宅地の混ざる不思議な雰囲気が台無しではないか。

2015/05/05(火)(五十嵐太郎)

DUBHOUSE:物質試行52/映画としての音楽

会期:2015/04/25~2015/05/08

K's cinema[東京都]

新宿 K's cinemaにて、七里圭の作品『DUBHOUSE:物質試行52』と『映画としての音楽』を見る。前者は鈴木了二との共同監督であり、DUBの記録映画でもある。特に作品の前半は、ほぼ真っ黒な闇の画面が続き、音だけが響く、強烈な体験だった。こうなると、自分が鑑賞している場そのものの音響や空間に対して鋭敏になる。後者は映画史をたどりながら、やはり音の圧倒的な存在感で迫ってくる。これはただ見る映像ではなく、モノとしての映画ではないだろうか。

2015/05/02(土)(五十嵐太郎)

異国の面影─横濱外国人居留地1895─迷いこんだのは、120年前の地図の中

会期:2015/04/22~2015/07/12

横浜開港資料館[神奈川県]

横浜開港資料館にて、「異国の面影 横浜外国人居留地1895」展を見る。120年前の地図の中に迷い込んだという設定で、当時の街並みを詳細に紹介する好企画だ。英文によって個別の建物の構造や階数を詳細に記した、昔の地図が興味深い。いまでもアジアの都市だと、こういう近代のヨーロッパ的な風景が残っているところは少なくない。だが、改めて横浜は、震災、戦災、そして戦後の開発でそういった風景を完全に失ったことを痛感する。

2015/05/02(土)(五十嵐太郎)

artscapeレビュー /relation/e_00030494.json s 10112048