artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

武井誠+鍋島千恵(TNA)《オビの家》

[東京都]

竣工:2012年

東京の家の近くでは、TNAによる住宅の現場が進行中だった。スロープが住宅の外周をぐるぐるとまわる構成である。場所を移動し、TNAによるオビの家へ。ここの施主と建築家をつなぐきっかけを筆者がつくったので、以前から訪れたかった場所である。住まわれ方を見ると、相性はよかったようだ。4m四方の白い部屋を四層縦に積んだ小さな家だが、周辺環境との関係から各サイドで壁を横にめくり、空間に想像以上の広がりと明かりをもたらす。おそらく、これは他の物件でも応用可能な形式である。

2015/04/19(日)(五十嵐太郎)

尾形一郎/尾形優《タイルの家》

[東京都]

竣工:1998年

続いて、写真家の尾形一郎/尾形優による東京の家へ。もともと二人は建築家であり、まず最初にストイックなキューブの躯体をつくり、そこに展覧会を終えるごとに、作品として用いた世界各地の装飾的な細部が徐々に足されていく。彼らがテーマとしたウルトラ・バロック、メキシコのタイルや陶器、沖縄のブロック、額縁群、工事のときの足場などである。まさにアート作品としての建築と言えるだろう。

2015/04/19(日)(五十嵐太郎)

岡啓輔《蟻鱒鳶ル》

[東京都]

ゼミ合宿の最終日は、朝から東京で住宅をまわる。スタートは岡啓輔の《蟻鱒鳶ル》へ。着工して10年を迎える、セルフビルドによるコンクリートの砦に、最近はだいたい一年ごとに訪れているが、少しずつ工事が進んでいる。一方で周辺の再開発に対して、どのような対処をとるかの話し合いも動いている。ゆえに、完成する前から保存問題が起きているこの住宅が、どうなるかも興味深い。

2015/04/19(日)(五十嵐太郎)

伊東豊雄《まつもと市民芸術館》

[長野県]

竣工:2004年

伊東豊雄による《まつもと市民芸術館》にて、支配人の案内で、大小ホール、舞台やバックヤードを見学する。エントランスはガソリンスタンド風だが、細長い敷地形状を逆手にとって、一番奥まで引き込む動線と、全体の中央に舞台を置く思い切った計画が効いている。色彩や空間の雰囲気で、台中のオペラハウスに継承された部分が多いことを確認した。

2015/04/18(土)(五十嵐太郎)

戦後日本住宅伝説─挑発する家、内省する家

会期:2015/04/18~2015/06/07

松本市美術館[長野県]

宮本忠長が設計した《松本市美術館》(2002)に、「戦後日本住宅伝説」展が巡回した。同館では、初の建築展だという。三番目の会場となるが、それぞれに見え方が違う。特に、これまでの2館と構成を変え、時代順ではなく、カテゴリーから分類したことが大きく印象を変えた。なお、同館の常設では、松本出身の草間彌生の作品が目玉になっている。

写真:《松本市美術館》

2015/04/18(土)(五十嵐太郎)