artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
栗田咲子──養いもの浄土
会期:2011/07/02~2011/07/23
FUKUGAN GALLERY[大阪府]
描かれた動物たちは、とぼけた顔をしていたり、寝そべっている姿が気怠かったり、どれも緊張感の希薄なユルい空気に包まれている。ついニヤっとこちらの頬もゆるんでしまう栗田さんの作品。「いいなあ、部屋にあったら楽しいだろうなあ」と個展を訪れる度につぶやいてしまう。
2011/07/23(土)(酒井千穂)
中谷由紀──通りすがる
会期:2011/07/18~2011/07/31
STREET GALLERY[兵庫県]
Tシャツ生地に描かれたユーモラスなモチーフと染めもののような色彩の滲みがなんとも絶妙な味わいをもつ中谷由紀の絵画作品。今回は「盆栽」をテーマにしていた。滑稽でちょっと不気味なイメージの人物や植物のモチーフが、リズミカルな調子で配された画面はインパクトもすごい。暑かったけれど見に行くことができてよかった。

展示風景(右)
2011/07/23(土)(酒井千穂)
美術のなかのかたち──手で見る造形「桝本佳子 展──やきもの変化」

会期:2011/07/16~2011/11/06
兵庫県立美術館[兵庫県]
兵庫県立美術館で毎年開催されている実際に手で作品に触れてみることを前提にした企画展。今年は陶芸作家の桝本佳子の作品が並んだ。ユニークなのは、兵庫陶芸美術館の所蔵する古陶作品の「写し」を桝本が制作、その隣に展示して、さらにそれらからインスパイアされた新作を発表していたこと。「用」という陶器本来の意味目的にもアプローチする作家の毒気と、ユーモラスで大胆な動物モチーフは見ているだけでも痛快。だがここでは、会場に用意されたアイマスクをつけて、手で触れるという体験もぜひしてみてほしい。私は陶器の表面の感触や感覚のイメージの違い、全体のかたちを想像することの難しさも実感した。なんにしろどの点をとっても興味深く面白い。もう一度行きたい展示だ。
7月23日(土)酒井千穂
2011/07/23(土)(酒井千穂)
借りぐらしのアリエッティ×種田陽平 展

会期:2011/07/23~2011/09/25
兵庫県立美術館[兵庫県]
映画美術監督・種田陽平による、映画『借りぐらしのアリエッティ』のセット、監督がこれまでに手がけた映画美術の資料、スタジオジブリによるイメージボード、アニメーション映画制作資料などが展示されている会場は初日から多くの人で賑わっていた。私がじつは『借りぐらしのアリエッティ』を観ていないのだが、この展覧会は子どもだけでなく大人も楽しめる。展示は2カ月をかけて完成したということだったが、それも会場に入って納得。映画美術のスケールの大きさと、そこであらゆるものを制作する職人達の技術の凄さは想像以上。スタジオ・ジブリの手書きアニメへのこだわりも含めて盛りだくさんの内容。
7月23日(土)酒井千穂
2011/07/23(土)(酒井千穂)
堂島リバービエンナーレ2011「Ecosophiaーアートと建築」

会期:2011/07/23~2011/08/21
堂島リバーフォーラム[大阪府]
堂島リバービエンナーレ2011も初日に訪れた。杉本博司+永山祐子、森万里子+隈研吾の共同作品など、建築とアートをテーマに掲げ、両者を絡めようとする挑戦は評価したい。が、磯崎新の孵化過程を唐突においても、知っている人は知っているが、文脈を共有しない人にはよくわからないと思う。建築を展示することの難しさも考えさせられる。大量に展示された、空間的な造形に展開するアニッシュ・カプーアの模型群は興味深い。
2011/07/23(土)(五十嵐太郎)


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