artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

池田高広 展─Wonderful Choco─

会期:2011/02/14~2011/02/19

番画廊[大阪府]

ココアパウダーやチョコレートをインクに溶かして、特異な版画作品を制作している池田高広。今回は版画だけでなく、絵画や陶芸にも挑戦し、その方法論をより進化させていた。特に絵画の出来は良く、とても初出品とは思えないほど。作品の特徴を考慮すれば異業種とのコラボレーションも不可能ではなく、制作ジャンルを拡張したことも相まって、今後の展開に期待が持てる。

2011/02/14(月)(小吹隆文)

プレビュー:林勇気 展「あること being /something」

会期:2011/02/18~2011/03/19

兵庫県立美術館[兵庫県]

兵庫県立美術館で、今年度から始まる注目作家紹介プログラム“チャンネル”。このプログラムのタイトルは、英単語〈channel〉の複数の意味に共通する「何かと何かをつなぐこと」を踏まえてつけられたという。その第一回目は、関西を拠点に活動する映像作家・林勇気の個展。一見CGアニメのように、登場人物や背景が淡々と動くその作品は、林自身が撮影しパソコンに取り込んだ膨大な写真資料をひとつずつ切り抜き、張り合わせるという手法で制作されている。今展では、その展示作品の素材となる写真が公募によっても集められた。アーティストと人々が作品ではどのようにつながったのか、見に行くのが待ち遠しい。

2011/02/14(月)(酒井千穂)

プレビュー:山本太郎個展「古典 - the classics - チェリー」

会期:2011/02/12~2011/03/19

イムラアートギャラリー[京都府]

古典絵画に現代的な要素を取り入れたその「ニッポン画」に、近年は日本の古典の物語を織り込むという表現を試みている山本太郎。 京都では二年ぶりの個展となる今展は、名古屋、東京、金沢を巡回した「古典 -the classics-」という展覧会のシリーズ。謡曲の「桜川」と「隅田川」をテーマに昨年制作された二曲一双の大作のほか、源氏物語の一場面を描いた新作、小作品も展示される。

2011/02/14(月)(酒井千穂)

プレビュー:森太三「Rain to Rain」

会期:2011/02/15~2011/03/06

neutron kyoto[京都府]

昨年、祇園祭の頃に同ビルの一階の空きスペースに出現した軽量粘土の粒を用いたインスタレーション作品は記憶に新しい。空間いっぱいに山の稜線を表現したそれはガラス越しに鑑賞する作品だったのだが、 色の爽やかなグラデーションも軽やかなイメージで、そこだけがまるで街中の喧噪から遠く離れた場所のように、美しい風景への連想を広げるものだった。身近にあるものを素材に用い、さまざまな光景を生み出す作家のこの場所での最後の個展になる。

2011/02/14(月)(酒井千穂)

プレビュー:版画の時間 成安造形大学造形センター版画ラボからの報告

会期:2011/02/23~2011/03/05

成安造形大学[滋賀県]

独立した版画分野をもたないかわりに、各専攻のカリキュラムのなかでそれぞれに特化した版画教育を行なっている成安造形大学。「造形センター版画ラボ」は四版種(木版、銅版、石版、孔版)の制作、印刷実習の施設であるほか、印刷メディアに関する研究機関としても活動している。表現領域の異なる教職員と学生たちの作品が展示公開される本展、版画の多様性やその展開が楽しみだ。

2011/02/14(月)(酒井千穂)