artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
渓谷 才木寛之 展
会期:2011/01/24~2011/01/29
番画廊[大阪府]
発泡スチロールなどを芯に用い、革を張って異形のオブジェを制作してきた才木寛之。本展では、初めて壁掛け式のレリーフ的な作品を発表。事前に見た画像では平面的な印象を受けたが、実物を見ると思っていたより凹凸が深くて、立体作品と同様の妖しい気配が感じられた。また、会場には普段彼が使用している道具類もディスプレイされており、効果的な演出となっていた。
2011/01/24(月)(小吹隆文)
泉イネ「本の記憶」
会期:2010/11/18~2011/01/25
メゾンエルメス1階ウィンドウ[東京都]
エントランスの左右のショーウィンドウにインスタレーション。「語り継がれる“ものがたり”」をテーマとするエルメスだから、「未完本姉妹」シリーズを発表してきた泉イネに白羽の矢が立ったのもうなずける。モンドリアンの幾何抽象のごとき黒い枠の棚に、白、黒、グレーのカバーをかけた本を並べ、絵や写真、エルメスの商品などを配している。全体にシックで思慮深げ。エルメスのディスプレーに使われたとの見方もできるが、ここまでやれればエルメスをインスタレーションに取り込んだというべきだろう。
2011/01/24(月)(村田真)
ザ・ラウンジ
会期:2011/01/13~2011/01/27
ブルガリ銀座タワー8階プライベート・ラウンジ[東京都]
六本木の住宅展示場、椿山荘の庭園、フランス大使館の官舎など、展示空間でない場所ばかりを選んで若手アーティストの作品を展示してきたユニークな団体「団・DANS」。今回、彼らが目をつけたのがブランドショップのビルの上階に位置する、われわれにはほとんど縁のないプライベート・ラウンジ。へえーこんなムダな空間があるんだと感心しつつ、フロア内に点在する20人ほどの作品を見る。音を聞くと色が見えるという共感覚をテーマにした四宮優のピアノ・インスタレーションは労作だが、説明を聞かなければおもしろさが伝わってこない。山田啓貴と田中千智の絵画はすばらしいが、この場所でなくてもいいだろう。その他、この場所から浮いてるもの、ハマりすぎてるものが多数を占めるなか、4本脚の椅子の1本に樹木のような彫刻を施した久村卓の作品は、ひかえめでありながらいじけることもなく超然と自己を主張していて、村田真賞だ。
2011/01/24(月)(村田真)
青木千絵 展──URUSHI BODY
会期:2011/01/07~2011/01/28
INAXギャラリー2[東京都]
黒光りする漆塗りのスタイロフォームから女性の下半身がニョッと出ている。床置きもあれば、天井から吊るされてる(足が床スレスレで着いてない)のもある。こういうのはとまどうなあ。別に下半身にとまどうんじゃなくて、奇妙な形態を見せたいのか、それとも漆の質感を見せたいのか、つまるところ彫刻なのか漆芸なのかがよくわからないのだ。そんなのどっちでもいいという見方もあるが、しかし彫刻を志向しつつ漆の質感にも頼ってる的なあやふやさが感じられ、どうにも歯がゆいのだ。はたして両者はアウフヘーベンされるのだろうか。
2011/01/24(月)(村田真)
ザ・リングIII
会期:2011/01/14~2011/02/13
フォーラム・アート・ショップ・エキジビション・スペース[東京都]
もともと指輪や腕輪などのジュエリー展から出発した「リング」だが、いつのまにかジュエリーから離れて作家同士の「連鎖」の意味に変わっている。出品作家は今村源、作間敏宏、徳田憲樹という関西度の高い面々。今回は3つの壁にそれぞれの作品を展示するほか、3人と主催者を加えた4者のあいだで透明ボックスを巡回させ、応答しながらコラボレーションした「コラボックス」も展示している。でもこういうのって、やる側にとってはおもしろいかもしれないけど、見る側にとってはそうでもないんだけど。
2011/01/24(月)(村田真)