artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

他のお客様の迷惑となりますので、展示室ではお静かにご鑑賞ください。

会期:9月13日~1月14日

広島市現代美術館[広島県]

展覧会名とは思えないタイトルだが、要するに騒がしい作品を集めたコレクション展。といっても、実際に動いたり音が出たりする作品は、ナム・ジュン・パイクのビデオ彫刻や田中功起の映像、たべけんぞうのキネティックアートなど数点しかなく、大半は田中敦子や横尾忠則らのハデハデの絵画や、篠原有司男や草間彌生らのゴテゴテの彫刻で占められている。たしかに騒がしい作品だけど、「他のお客様の迷惑」にはならないぞ。どうせなら展示室でドンチャン騒ぎしてみるとか。

2008/12/14(日)(村田真)

エモーショナル・ドローイング

会期:11月18日~12月21日

京都国立近代美術館[京都府]

入館したらちょうど本展を企画した東京国立近代美術館学芸員の保坂氏と、信州大学人文学部准教授の金井氏との対談が始まるところだったので聴いてから会場に入ることにした。見ることや解釈することよりも、感じることのほうを重視するという趣旨のもとに構成された今展の出品作家の説明から、予備校教育の歴史から考察する美大受験用デッサンの傾向とその変遷、ドローイングという言葉の枠組みの問題など、2時間程のトークの話題は幅広く、たいへん興味深い内容だった。その分改めて展示作品を見ていくと、なぜここでこれが「ドローイング」として扱われるのかと考えてしまうものも。全体的には、イメージが言葉と結びついていったり連想が広がる魅力的な展覧会だと思ったが、同時にどこか腑に落ちない消化不良のようなモヤモヤ感が残った。そんな未消化の気分や余韻もあるが、それだけに、今後また同テーマでの新たな展開があるならばぜひ見てみたい。

2008/12/13(土)(酒井千穂)

琴平プロジェクトこんぴらアート2008・虎丸社中

会期:12月12日~12月14日

虎丸旅館/琴平町公会堂[香川県]

近ごろホテルの客室を使ったアートフェアはよく見かけるが、旅館の和室を展覧会場にする試みはあまり聞いたことがない。これは、こんぴらさんで知られる金刀比羅宮の参道の虎丸旅館と、その近くの重文級の琴平町公会堂を舞台にした展覧会。出品は彦坂尚嘉、吉峯和美、糸崎公朗、廣中薫、澤登恭子ら19組。こうした展覧会の場合、ほかの場所でつくった作品をもってきて展示するだけでは、わざわざ見に行く価値がない。やはり琴平町という地域性や、旅館の部屋という空間性を生かしたサイトスペシフィックな制作が望まれるが、そういう作品はごくわずか。とはいえ、たとえば吉峯の作品は、17世紀オランダを思わせる油絵で和風旅館とはミスマッチなのだが、意外なことに大きさといい色合いといい図柄といい、和室にぴったり合う。一方、天井板にトマトやナスの模型を貼りつけた彦坂の作品は、若冲の天井画からヒントを得たのかと思ったら、ぜんぜん関係ないという。もっとも天井画は金刀比羅ではなく京都のお寺にあるのだが。いずれにせよ「今年はパイロット展」というから、次の展開を期待したい。

2008/12/13日(土)(村田真)

氾濫するイメージ──反芸術以後の印刷メディアと美術 1960’sー1970’s

会期:11月5日~1月25日

うらわ美術館[埼玉県]

60年代から70年代の印刷メディアにおける視覚的なイメージを紹介する展覧会。赤瀬川原平、木村恒久、中村宏、つげ義春、タイガー立石、宇野亜喜良、粟津潔、横尾忠則による作品、じつに500点あまりが展示された。政治的・社会的なメッセージが原色によって織り込まれたポスターや表紙、挿絵、絵画、コラージュ写真、漫画などを見ていくと、時代の匂いにむせ返ると同時に、印刷メディア自体が困難を迎えている今となっては、その時代への羨望の念を抱かずにいられない。これからの時代はほんとうに貧しくなってゆくばかりで、気が滅入る。

2008/12/12(金)(福住廉)

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島袋道浩 展:美術の星の人へ

会期:12月12日~3月15日

ワタリウム美術館[東京都]

久々の日本での発表。ジャガイモが海のなかを漂い、魚に突かれる映像《シマブクのフィッシュ・アンド・チップス》、美術関係者に縁のないゴルフの練習場をつくった《やるつもりのなかったことをやってみる》、英語にしないとわからない《タマネギオリオン(Onion Orion)》、屋上に昇って見下ろすと、隣のビルに立っているビルボードの裏にゾウの後ろ姿の写真が見え、「パオ~」と鳴き声も聞こえてくる《象のいる星》など、ベルリンに行ってからもぜんぜん変わってないのがうれしい。やっぱりこれが島袋だ。

2008/12/12(金)(村田真)