artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
藤井信子

会期:11月25日~12月4日
ジャックと豆の木[神奈川県]
昨年の芸大先端修了展で羽毛に覆われた巨大なお化けのような迫力のあるインスタレーションを発表した藤井信子。同じ作品を中心に、動物の皮や昆虫などを素材にしたいくつかの作品を展示した。地下の暗い室内で展示した昨年には気がつかなかったが、お化けの内側にはフラミンゴの羽毛が貼りつけられており、その鮮やかな紅色に内触覚が刺激された。
2008/12/03(水)(福住廉)
秦まりの展 LOVE トカゲ男とその愛の話

会期:12月1日~12月6日
番画廊[大阪府]
恋人を亡くしたショックで半分トカゲになった男性が、愛の真理を求めて中南米に旅立つが……、という自作の物語によるカラフルな版画作品。表面に塗られたラメ(化粧品から流用)の効果で表面がキラキラしているが、ケバさよりも生命力を感じさせるのが彼女の長所だ。ぬいぐるみ状のソフトスカルプチュアもいい味を出していた。初個展なのに臆せず、伸び伸びと力を出し切っており、見ていて気持ちが良かった。
2008/12/01(月)(小吹隆文)
松井沙都子 展 クロージング

会期:12月1日~12月20日
Gallery Den 58[大阪府]
細い線と薄い色彩で描かれた絵画作品。複数のイメージが複雑に接続されているため、いくら見つめてもイメージの整合性がとれない。追えば追うほど袋小路にはまり込むような、悶々とした感情が蓄積されていく。ほのかに隠微な香りが漂うのも刺激的だ。まるで百戦錬磨の異性に翻弄されるような、甘美と怖れが入り混じった気分。平日午後の画廊でこんな気持ちになるとは、思いもよらなかった。
2008/12/01(月)(小吹隆文)
現代美術への視点──エモーショナル・ドローイング

会期:11月18日~12月21日
京都国立近代美術館[京都府]
そのものずばりのドローイングもあれば、これがドローイング? と首をかしげる作品もあった。映像(アニメ)が多いのは、次々と湧き上がる衝動を余さず留めたいという気持ちの表われなのか(映像作品を仕上げるプロセス自体はドローイングほど直感的ではないように思われるのだが)。恣意的でアバウトなドローイングというジャンル。でも、その曖昧さこそ大きな可能性の担保なのだろう。個人的にはホセ・レガスピの作品が一番気に入った。辻直之のも良かった。
2008/11/30(日)(小吹隆文)
ひらがなアート~チバトリ~

会期:11月15日~11月30日
「深淵」を見せつけた(らしい)横浜の国際展とは対照的に、等身大のアートを魅せる千葉の展覧会。アンデパンダンがあり、「風俗美術館」なる企画展もあり、ワークショップにトークショーなどなど、盛りだくさんの内容だ。なかでも傑作だったのが、千葉城の天守閣で発表された岡田裕子の映像作品。いつものように全体的な尺が若干長すぎる気がしないでもないけれど、それでも地元住民をキャスティングしながら、また市内各所でロケ撮影しながら、若い男女が結ばれる物語をコミカルに映像化した手腕には唸らされる。そもそも入館料60円を支払って天守閣に登り、そこで城下町を舞台とした映像を鑑賞するという経験じたいが、十分アートと言えるが、それは「ひらがなアート」というより、その場でしかありえない「地産地消アート」というべきかもしれない。ぜひ次回も開催してほしい。
2008/11/30(日)(福住廉)


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