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美術に関するレビュー/プレビュー

ジ・アートフェア+プリュス―ウルトラ2015

会期:2015/12/18~2015/12/28

スパイラルガーデン[東京都]

3日ずつ3期に分けての展示で、今日は2期目で18のブースが出展。さっき初めて知ったけど、このめんどくさいタイトルは、ジャンルの垣根を超えて優れたアートを提供することを目指す「+プリュス」と、40歳以下の若手ディレクター個人を出展単位とする「ウルトラ」という、ふたつの部門から成り立ってることを意味してるんだって。そうだったのか、これまで知らずに見ていた。いや別に知らなくても問題ないけどね。どっちにしろ、いくらジャンルの垣根を超えて若手ディレクターが作品をチョイスしても、そこはアートフェアだから売りやすい小品が中心となる。気になった作品が1点あった。カラフルなインコの死骸から花が生えたように羽根をつなげた小松宏誠の作品で、なにかすごく不穏でよかった。

2015/12/23(水)(村田真)

高畑早苗「妄想中世──po パーソナルオブジェ」

会期:2015/12/10~2015/12/23

佐賀町アーカイブ[東京都]

ふたつの壁面にびっしりと小品が掛かっている。当初350点あったという(即売なので少しずつ減っている)。高畑は18歳のときにパリに行き、ギャラリーでデビュー。そのころの作品も奥の部屋に飾ってある。その後ニューヨークに移住し、ギャラリーと専属契約を結んだという。直前に藝大生のヌルい作品を見たせいか、絵のうまさでは負けるけど、初めから確たるヴィジョンを持ち、アーティストとして揺るぎなく生きてきた心がまえが違う。

2015/12/23(水)(村田真)

東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻3年生展覧会「空中にて」

会期:2015/12/18~2015/12/26

アーツ千代田 3331 1階メインギャラリー[東京都]

ここでも藝大の展覧会だ。学部3年生なので、翌年に控えた卒業制作展の予行演習のつもりかもしれない。でも油画専攻なのに、ぱっと見、絵画は半分くらいで、あとはインスタレーションだったりメディアアートだったりする。いや実際には絵画はもっと多いはずだが、インスタレーションやメディアアートのほうが目立つから絵画の存在感が薄く感じられるのだろう。それがまた絵画離れを加速させているのかもしれない。肝腎の絵画も少女マンガやイラストに毛が生えたような幼稚な発想の作品が多くて、おじさんは不満だ。

2015/12/23(水)(村田真)

2015 SHORT SHORT

会期:2015/12/15~2015/12/24

東京藝術大学 上野校地美術学部 絵画棟1F[東京都]

博士展に合わせて油画技法材料研究室の修士1年の成果発表をやってたのでついでに見たけど、別に見なくてよかったかも。

2015/12/23(水)(村田真)

東京藝術大学大学院美術研究科 平成27年度 博士審査展

会期:2015/12/15~2015/12/24

東京藝術大学大学美術館+絵画棟など[東京都]

藝大博士課程の展示。専攻別に見ると、文化財保存学が最多の6人で、先端芸術表現5人、日本画、油画、芸術学が各4人、彫刻3人、工芸2人、デザイン、建築が各1人と続く。やはり金にならないジャンルほど大学院に残るようだ。しかも博士課程まで行くとドツボにはまり、ますます売れそうにないもの、役に立たないものをつくってしまいがち。展示を見ると、かたわらに置かれた論文に目を通せばもう少し理解できるだろうけど、そんなヒマもないので、つい視覚的にインパクトのあるものに足を止めてしまう。菱山裕子はしばしば銀座の画廊で個展を開いてきたベテランといっていいが、今回は空気を送り込んで膨らませる植物状(またはタコ足状)のバルーンを用いている。これまでの金網の彫刻から脱却か。川島大幸は半透明の光学ガラス製の彫刻を回転させ、そこに光を当てて壁に反射させている。これはガラスの彫刻がメインなのか、光の反射がメインなのか……まあどっちも重要だろうけど。笹川治子はベニヤ製の人間魚雷をつくり、天井から吊るしている。いかにもチープなつくりで笑えるが、実は大戦末期に粗造された人間魚雷もこれと大して変わりがなかったとしたら恐ろしくなる。

2015/12/23(水)(村田真)