artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
写真新世紀2015 東京展
会期:2015/12/03~2016/12/25
ヒルサイドテラス/ヒルサイドフォーラム[東京都]
キヤノン主催の写真公募展「写真新世紀」も変革の時期を迎えつつあるようだ。1991年のスタートから25周年ということで、今回から清水穣(写真評論家)を除いて審査員が大きく変わった。「写真新世紀」の受賞者でもある澤田知子、野口里佳に加えて、フリッツ・ヒールベルフ(オランダ写真美術館キュレーター)、荒木夏美(森美術館キュレーター)、さわひらき(美術家)が審査にあたった。さらに大きな変化は動画映像の応募が可能になったことで、グランプリを受賞した迫鉄平の「Made of Stone」(さわひらき選)がまさに動画作品だった。ほかに優秀賞を受賞したのは、新垣隆太「Sweep」(澤田知子選)、岸啓介「HAKKOxRebirth」(野口里佳選)、HALKA「レッツゴー二匹」(荒木夏美選)、松本卓也「Tangent Point」(フリッツ・ヒールベルフ選)、三田健志「等高線を登る」(清水穣選)である。
出品作品の幅を動画にまで広げたのは、とりあえず成功だったのではないだろうか。カメラに動画機能が組み込まれていることもあり、静止画像と動画のあいだを隔てる壁はかなりなくなりつつあるように思う。スナップショットの映像化というべき今回の迫の作品がそうだったように、今後はその境界領域を行き来する作品がもっと増えてくるだろう。逆に、静止画像であることの意味づけが必要になってくる時代が、もう間もなくくるのかもしれない。
同会場では、前回のグランプリ受賞者、須藤絢乃の新作個展「面影 Autoscopy」も開催されていた。「赤の他人」のポートレートに彼女自身の「面影」をうっすらと重ねあわせ、奇妙な揺らぎを生じさせている。着実に自分の作品世界を深めつつあるのではないだろうか。さらにアーティストトーク、ポートフォリオレビュー、写真レクチャー、映像ライブなどの多彩なイベントも開催され、未来志向がより強まっていた。そのことをポジティブに評価したい。
公式サイト:http://web.canon.jp/scsa/newcosmos/
2015/12/19(土)(飯沢耕太郎)
東京都高等学校文化祭 美術・工芸部門 第26回 中央展
会期:2015/12/13~2015/12/20
東京都美術館[東京都]
都立高校文化連盟の美術・工芸部門の発表会。ざっと数えて120校を超す高校から各7、8人参加してるから1000点近くありそうだ。それを公募展示室の1フロアに展示しているので3段掛けは当たり前、最高6段掛けのところもあった。やはり学校によってレベルもカラーも画材もサイズも異なるので、見比べるとおもしろい。雪舟やミレーやゴッホらの模写が多い拝島高校は先生の教育方針だろうか。さすがにテクが抜きん出ているのは総合芸術高校だが、ほかにレベルが高かったのは若葉総合高校、両国高校、東高校、清瀬高校、国分寺高校、八王子桑子高校、片倉高校など。とくに森の絵と陶製のキノコや小動物を組み合わせてジオラマ風に仕立てた馬場毬加(若葉総合)の作品は、チラシにも使われるほど。でも音楽とは違って、美術は高校から大学にかけて(つまり子どもから大人になるときに)大きな価値転換が起きるものなので、これからが下克上だ。
2015/12/18(金)(村田真)
LABYRINTH OF UNDERCOVER“25 year retrospective”
会期:2015/10/10~2016/12/23
東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]
25周年を迎えたブランド、UNDERCOVERのコレクションから、ファッション、写真、映像、ドール、スケッチなどを一堂に紹介する。かわいいだけではなく、奇形的、あるいは怪物的なパンク・デザインもあって興味深い。
2015/12/18(金)(五十嵐太郎)
ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展
会期:2015/10/29~2016/12/20
ゴーギャンがしばし滞在していたブルターニュの小さな村での生活と、そこで集った画家のコミュニティと作品群を紹介する。フランスの近代絵画が革命的に変化していた時代ゆえに、印象派から統合主義、ナビ派、象徴主義への展開をたどる。
2015/12/18(金)(五十嵐太郎)
平野恵子 個展「floating stone」
会期:2015/12/12~2015/12/19
1の1スタジオ[神奈川県]
黄金町のスタジオを借りての個展。台座の上にのせた卵型の石の彫刻を見てたら「どうぞ触ってください」といわれたので触れてみると、意外にもフワッと動く。あれ? っと思って触りまくるとユラユラ揺れる。ただそれだけなんだけど、単に見るだけとはまったく違った感触がある。
2015/12/17(木)(村田真)