artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
加藤マンヤ展 as far as possible
会期:2013/10/12~2013/11/11
岡崎のmasayoshi suzukiギャラリーを訪問した。加藤マンヤ展では、日用品に手を加えたオブジェの数々が、新しいモノの関係性を示す。同時に展示されているstudio velocityのシビコ屋上のプロジェクト「roof」の模型がすごい。やはり、ほとんど糸のグリッドが見えない。オカザえもんのフィギュアも、ここで予約受付している。岡崎は訪れるたびに、オカザえもんがあちこちに増えていることを実感する。ちなみに、ゆるキャラグランプリ2013にて、オカザえもんに投票したが、これだけ多様なゆるキャラが日本各地に存在するのに、ほとんどが同じ特徴をもつ。身体の丸っこい曲線だ。かわいらしさの媚を売ることと、着ぐるみで人が内部にいることを忘れさせることが目的だろう。しかし、オカザえもんだけが違う。アートなのだ。
写真:上・中=加藤マンヤ展、下=studio velocity《roof》模型
2013/10/24(木)(五十嵐太郎)
あいちトリエンナーレ ベロタクシー
[愛知県]
シビコまでベロタクシーに乗せてもらう。毎週あいちトリエンナーレの現場にいるのだが、実は初めて。なんとか会期が終わるまでに乗ることができた。歩行に近いスピードで移動する乗り物。スローウォークの乗り物バージョンのようで面白い。ベロタクシーはトリエンナーレのまちなか展開を彩る大事な要素である。おそらく、実際に展示を見ない人にとっても、これが街で動いていると、トリエンナーレの開催を感じるはずだ。
2013/10/24(木)(五十嵐太郎)
ホンマタカシ「Pinhole Revolution / Architecture」
会期:2013/09/19~2013/10/26
TARO NASU[東京都]
TARO NASUで、ホンマタカシ「PINHOLE REVOLUTION ARCHITECTURE」展を見る。丹下健三らの建築をピンホール・カメラに変えたビジネスホテルの部屋によって撮影する新作と、ル・コルビュジエなどの建築の窓ごしの風景写真を組み合わせたものだ。またギャラリーの空間ごとピンホール化し、道路向いの風景を部屋に転写した作品も興味深い。
2013/10/23(水)(五十嵐太郎)
Marc Chagall シャガール展
会期:2013/09/03~2013/10/27
宮城県美術館[宮城県]
宮城県立美術館のシャガール展を見る。いわゆる絵のための絵ではなく、パリ・オペラ座の天井画、バレエ劇のドレス、舞台背景、教会のステンドグラス、陶芸、彫刻など、建築や舞台と関わる作品をメインにとりあげており、個人的に楽しめた。作品の全体レイアウトを構想する際、カラフルな色のヴォリュームの配置が効果的である。
2013/10/22(火)(五十嵐太郎)
生誕100年! 植田正治のつくりかた
会期:2013/10/12~2014/01/05
東京ステーションギャラリー[東京都]
「生誕100年!」を迎えた植田正治の作品を、もう一度丁寧に見直し、再構築しようとする好企画だ。東京ステーションギャラリーでは1993年に「植田正治の写真」展が開催されている。この時は、彼の作品世界を初期から辿り、代表作を紹介するオーソドックスな回顧展だった。ところが、今回は時代を行きつ戻りつしながら、「植田正治という写真家は、どのようにひとつひとつの作品をつくりあげていったのか」を、145点の作品を通して読み解こうとしている。この20年の研究・調査の積み重ねの成果が、しっかりと活かされているということだろう。展示の構成は以下の通りである。
「I『童暦』──ディスカバー・植田正治 1950年代-1970年」「II演出の発明──出発枯らすタイルの確立まで 1931-1950」「III“小さい伝記”──回帰と反復 1970年代-1980年代」「�「植田正治劇場──ボクのスタジオ 1990年代-2000」。
植田本人の文章をふんだんに引用しつつ、写真と映像を絡めた展示は見応えがある。部屋から部屋へとさまよい歩くような、ステーションギャラリーのやや変則的な空間構成が、逆に彼の写真の多様な側面を浮かび上がらせるのにうまく働いていたと思う。展示の目玉は、なんといってもこれまで未発表だった奥さんをカラーで撮影した写真群(「ママと日傘」1949のヴァリエーション)と、植田の没後に未現像のままカメラの中に残されていたフィルムをプリントした11点の作品だろう。どこか寂しげな風景や窓辺を写した「最後の作品」にも、彼が「写真に対する精神的燃焼度」を最後まで保ち続けていたことがよくあらわれていた。
2013/10/22(火)(飯沢耕太郎)