artscapeレビュー

映像に関するレビュー/プレビュー

インシデンタル・アフェアーズ うつろいゆく日常性の美学

会期:2009/03/07~2009/05/10

サントリーミュージアム[天保山][大阪府]

「インシデンタル(日常的な、取るに足らない物事)」をキーワードに選んだ17作家の作品を展覧。宮島達男やウォルフガング・ティルマンスといった有名作家から、ニューカマーの横井七菜までが選ばれており、ジャンルもバラエティ豊か。現代アートの多様な魅力を伝える意図が強調されていた。私にとっては、さわひらき、横溝静、榊原澄人の作品を見られたのが収穫。木村友紀と田中功起の展示もいい感じだった。関西では美術館の現代アート展が明らかに不足しているので、こういう企画はどんどん増やしてほしい。

2009/03/07(土)(小吹隆文)

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吉原治良賞記念アートプロジェクト contact Gonzo:「the modern house──或は灰色の風を無言で歩む幾人か」project MINIMA MORALIA section 1/3

会期:2009/02/11~2009/02/20

大阪府立現代美術センター[大阪府]

どつき合いの喧嘩がそのままダンスになるcontact Gonzoのパフォーマンス。3年前に彼らを知った時の驚きは今も鮮明だが、同時に一発屋の懸念も抱いていた。久々に彼らのパフォーマンスと活動記録を見て、その表現には大きな可能性があることを改めて実感した次第。彼らの今回の活動は、刷新され約3年もの月日をかけて展開された「吉原治良賞記念アートプロジェクト」によるもの。同賞の主旨はさておき、3年間にわたって観客の注目を維持し続けるのは、やはり不可能と言わざるを得ない。私も途中で脱落したため、プロジェクトの全体像は把握できていない。この点は次回以降見直しが必要だと感じた。

2009/02/14(土)(小吹隆文)

ヤマガミユキヒロ展 SynchroniCity

会期:2009/02/03~2009/02/15

neutron-kyoto[京都府]

左右二つのスクリーンに異なる都市の風景がスロー再生されている。面白いのは、それぞれの風景が左右対称にトリミングされ、一つの景色に見えるように接続されていること。合体された二つの景色は微妙なバランスを保ち、見た事がないのに既視感がある不思議な状態へと見る者を誘う。ヤマガミは一貫して都市をテーマにした作品を作って来たが、本作が醸し出すゆったりしたグルーヴはこれまでになかった快楽的なものだ。

2009/02/03(火)(小吹隆文)

高橋匡太 展“Roomers”

会期:2009/02/01~2009/02/21

MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w[京都府]

JR京都駅南側へと移転したヴォイス・ギャラリーのオープニング展。十和田市現代美術館の外壁を彩る照明のインスタレーションで知られる高橋匡太が、昨年のソウル・ビエンナーレ出品作をバージョンアップして披露した。作品は6つの映像がシンクロして明滅するもので、一つのテーブルを軸に男女の物語がシルエットで展開される。実はこの男女は別々に撮影されていて、二人の物語というのは見る側の思い込みに過ぎない。説明的要素を極力排することで、コミュニケーションの妙を浮き彫りにした本作。高橋の手腕が鮮やかに示されていた。

2009/02/01(日)(小吹隆文)

Media Practice 08-09 東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻年次成果発表会

会期:2009/01/17~2009/01/25

BankART Studio NYK[神奈川県]

東京藝大の映像科による成果発表展。いわゆる「メディアアート」の範疇に行儀よく収まる作品が多く、仕上がりのよさについては質が高いのかもしれないが、逆にいうと破綻がなく、面白みに欠ける。「商品」に発展する可能性が望める反面、「作品」としては魅力に乏しいものが多かった。

2009/01/25(日)(福住廉)