artscapeレビュー

サイドコア──身体/媒体/グラフィティ

2013年05月15日号

会期:2013/03/23~2013/04/21

テラトリア[東京都]

大山エンリコイサム、竹内公太、ニコラ・ビュフといった名前に釣られて行ってみた。会場のテラトリアは、天王洲アイルの寺田倉庫本社内にできたクリエイティブスペースで、なぜかグラフィティ系の展示を中心にやっていくらしい。今回は身体とメディアの関係に意識的なアーティストたちの作品を選んでいるが、計15人のうちホンモノのグラフィティライターはひとりしかいないという。そのライター(QP)は今回グラフィティではなく、新宿の写真をコラージュした壁面作品を制作。完成度は高くないが、メッセージは明確に伝わってくる。隣の大山はグラフィティのストロークからエッセンスを抽出した絵画、その隣の松岡亮は大山作品に色づけしたみたいなステラを思わせる抽象画を出品。ニコラはキリンのすべり台とシーソーに落書きした一見カワイイ、しかしよく見るとすべり台がギロチンになっているという作品、菊地良太は橋の下にヒモを吊るしてブランコする記録写真、竹内公太はネットで自分のことを検索(「エゴサーチ」というらしい)して出て来た画像(男が頭にコーラを載せて歩いてる!)を描いた油彩画を出している。おもしろいなあ。広報もあまりしてないようだし、場所が場所だけに見に行く人が限られるのが残念だけど、いっそ寺田倉庫の壁にドーンと描いたら話題になるかも。

2013/04/19(金)(村田真)

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