MACとしては3月に下道基行個展「RIDER HOUSE」を実施し、オープニングにはACACに滞在中だった梅田さんにもライブでパフォーマンスを披露していただきました。また、僕個人としては2月4日と3月11日に秋田でトークを、3月18日には金沢でレクチャーなどさせていただきました。



↑これがワークショップスタート前の状態。
←秋吉台国際芸術村で3月6日よりスタートするレジデンス展フライヤー
↑紺屋の3階に入居している宮本初音さんのオフィスにあった福本歩さん作《フクモ陶器》
↑art space tetra外観
ACACでは1〜3月にかけて『空間知覚』というテーマでワークショップをベースにした参加型プロジェクトを展開中です。1月9日、10日にその第1弾となる銅版画&豆本制作のワークショップ「小さな空間」をを実施しました。青森は棟方志功の生誕の地でもあり、版画が盛んなんですよね。こちらのワークショップの詳細はACACのブログにて報告しておりますので、そちらをご参照ください。


↑ラブラブショーです。12月13日の日曜日についにMidori Art Center @ホテル山上がついにオープンしました!
青森に来て3ヶ月ですが、なんとかかんとかスペースをオープン。まあ今後どのような展開をしていくのかはかなり未定ですが、とりあえず人が溜まれる場であり刺激的なプロジェクトを展開していく場として機能していけばと思っています。
当日の様子はというと。。。
まずは18:00より狩野哲郎展がスタート。狩野くんの希望により急遽ご近所の老舗オルタナティブスペース『空間実験室』もお借りして2会場同時開催の展覧会となりました。
MACではより生の空間として生成変化していくインスタレーションが、空間実験室では彼のドローイングや写真作品を中心にしたインスタレーションが展開されています。場所の文脈を読み込んで作品を組立てていく狩野くんらしい、それぞれのスペースの特性を生かした素敵な展覧会となっています。また、歩いて3分足らずの2つのスペースをネットワーク化して現代美術展を実施することは、まちにより浸透していくという意味でもいい契機になると思います。
↑看板は中崎透作。相変わらず素敵な脱力感と絶妙なとんがり感が拮抗しています。
↑展示室奥の中空に芽吹いたちゃぼのおしょくじ。
以下今回の展覧会に向けたテキストです。
狩野哲郎が青森にやってきてMidori Art Center (MAC) @ホテル山上がスタートすることについて
2週間くらい前に横浜で狩野くんの最新作を見た。黄金町の高架下にある洒落たスタジオでの展覧会だ。相変わらずホワイトキューブではない特色のある場所を、よく観察し租借して読み込んだ素敵な空間になっていた。そういえば、山口でも情緒ある日本家屋に対してとても軽快に彼の世界を貫入させていた。
彼は性格の強い場所に対してとても敏感に反応し、そこに自分の庭を非常に巧みに生成するのだ。
そんなことを考えつつ、だったら逆に今回は極めて平凡な場所に彼がどんな化学反応を与えるか見てみたいと思い、単なる白い壁と屋根で囲まれた場所を用意してみようと思いたった。そして平凡とはいえ、微妙な色彩のフロア、青いタイル貼りの段差のある奥、いびつに浮遊する棚などがある無性格ではない小さな空間をつくった。
この平凡な場所と狩野くんがどんな対話をし、どんな風景を生成していくのだろう?
そんな経緯でMACプロジェクトスペースはスタートした。
狩野くんの目線の高さがえらく変化しているという事実、あるいはもしもチャボの目でこの空間を体験したら世界はどのようにみえるのだろうかという疑問
彼のこれまでの作品を振り返ると、植物を芽吹かせたり、チャボを登場させたりと、いつも非常に低い位置にその視線が向けられており、その地面との距離感は通常の僕らの視線の高さとは明らかに異なっていることに気付く。
彼は山口でも横浜でも、チャボと植物とホームセンターなどで入手できる素材を用いてインスタレーションを構成してきた。今回も登用された素材はほとんど山口から横浜を経由して青森に届いたもので、見慣れた素材ばかりであり、目新しいものはほとんどない。もちろん、青森でみつけたものも多数あるが、空間構成に対するものの扱いはほとんど変わっていない。
ただ今回圧倒的に変化したのは、その視線の幅が一気に増幅されたことだ。もっと言うと、インスタレーション全体を眺めたときに、中心となる(あるいはもっとも注目されるポイントの)視線のレベルが上昇したことだ。つまり、中空に浮遊する円盤に盛られた雑穀のえさの山、天井から吊られた種や殻など、これまで主に地面に直接配置されていたものたちの多くが中空に(それもちょっとこれまでより高い位置に)浮かんでいるのだ。人間の目線で見るとわりと自然な高さに引き戻されたように見えるが、これをチャボの視線の高さに置き換えてみると、格段に上空へと世界が拡張されている。
実はここには人間の通常のスケール感では見えてこない、もっと小さな存在にとってのちょっとした冒険の空間がある。
放たれたチャボの目線になって回遊してみると、そこには家からのびるスロープ、色彩豊かな結界、巨大な階段、テーブルのうえのまち、そして中空に浮かぶガラス器上に芽吹いた食事などが見えてくる。これまで彼はものの価値や見方をちょっとだけずらして活用し空間を形成したきたのだが、今回は加えて目線をずらし、それに呼応してものの扱いも、もう一段階ずらしてみせた。
狩野くん自身はチャボを投入したことについて、「作品に対して予期出来ない行動を仕掛けてくる極めて客観的な他者という存在を介入させてみた」と言いつつ、その一方で、その他者としてのチャボの目線で眺めることができる世界を構築しているという不思議な両義性を持たせていることが非常に面白い。矛盾というわけではないけれど、明解に一面には回収できない複数性が存在している。
それにしても、チャボが中空に浮かぶ食事の山をついばむことはあるのだろうか。あるいはまったく無関心で彷徨い続けるだけなのだろうか?
とりあえずは、ゆっくりと作品の変化を見守っていきたいと思う。
Midori Art Center (MAC)主宰 服部浩之
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展覧会の様子はこんな感じです。




↑こちらが空間実験室です。わりと広いフロアを用いてドローイングをメインに展示。インスタレーションに用いているものの多くは空間実験室のあちこちから引っ張って来てものたち。たった一晩でこのインスタレーションを完成させたのには驚嘆でした。
↑国際芸術センター青森(ACAC)館長の浜田さんも展覧会&オープニング宴会に参加してくれました!
↑驚いたことにartscape編集部からオープンのお祝いのお花をいただきました。担当のSさん、みなさんありがとうございます。
↑MAC看板の反対面です。中崎くんありがとう!
↑オープニングパーティならぬオープニング宴会は約40名近い方にご参加いただき大盛況となりました。ご参加いただいたみなさんありがとうございます。ちなみにここはホテル山上の宴会場です。山上家の皆様、美味しいご飯をありがとうございます。
↑狩野くんとチャボ。お疲れまさでした!素敵な展覧会と空間をありがとうございます。
とりあえずは無事にMAC青森をスタートさせることが出来てほっとしています。みなさま今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ちなみに制作の様子や日々のMACの状況はMAC blogでご覧いただけます。
MAC blog >> http://aomorimac.exblog.jp/
↑本日はassistantのふたりが2月のワークショップのためにacacの下見に来てくれました。ワークショップ会場と概要も決まり面白くなりそうです。
↑もとacacのキュレーターの真武さんが展示の様子を見に来てくれました。ちなみにこれは12月7日の様子で、現在は作品はまったく異なる様相を呈しています。その様子は13日のオープニング後に公開します。ご期待ください!

↑ドローイング『自然の設計―中空の山』画用紙に色鉛筆 2009 297×210mm(青森のためのプラン)より
↑teco LLCのオフィス。雀荘の看板がいいです。
↑こちらがmonné porteです。
↑ギャラリー内部。


↑「ジカンノハナ」展の会場。



↑対岸より。手前右手のグレーの建物の左側約半分が梅香堂さんです。
↑道路側のファサード。一番手前の建物です。新しい木材のちょっと黄色味のある窓枠や階段が効いてます。
↑写真を見るとわかるかもしれませんが、この手前から奥までの何棟か全体が繫がっていてひとつの家になっています。
↑内部のスタジオ部分です。 


↑エントランスより。
↑内部はこんな感じです。
↑橋詰さんです。ナチュラルに面白いことをよくしゃべる人です。
↑橋詰さんがアートディレクション とデザインを担当したmina-perhonenというファッションブランドのカタログです。実際にこの本を手にのせてみるだけで、その軽さや手触りからも、このブランドの方向性が伝わってきます。詳しくは下記ウェブを参照。
↑最近完成したというYCAM教育普及の本です。これについての具体的な話は会田くんから出てくるのでは、と期待してます。
↑このとおり、バスはがらがら。
↑ACACです。(上;外観、下;ライブラリー) 建築は安藤忠雄さんの設計です。
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