キュレーターズノート
バックナンバー
美術を生活の連続性のなかに置くこと──ポストコロナ時代のアーティスト・イン・レジデンスを考える
[2020年05月15日号(住友文彦)]
さて困った。数カ月前に見た展覧会を振り返るのがいいか、それともオンラインで展開されている展覧会を見た感想を書くのがいいのか。しかし、どちらもいまの気持ちとうまく合致しない。ここは学芸員が見てきたことを書く連載なので、もっと素直に日記のような...
コロナの時代における「弱さ」とは何か──「ライフ 生きることは、表現すること」展
[2020年05月15日号(坂本顕子)]
熊本市現代美術館は2月29日以来、閉館を続けている。それに伴い、4月11日に開幕予定だった「 ライフ 生きることは、表現すること 」展も、現在までオープン延期を余儀なくされている。できる限り早期の展示再開を目指しているが、これまでと同じよう...
“不在”の記録を試みる──泉太郎「スロースターター バイ セルフガイダンス」/「とんぼ」
[2020年04月15日号(吉田有里)]
2019年10月に名古屋芸術大学Art&DesignCenterギャラリーでの「 スロースターター バイ セルフガイダンス 」、2020年1月にMinatomachi POTLUCK BUILDINGでの「 とんぼ 」、二つの会場で開催した...
パンデミックと……、建築と……、
[2020年04月15日号(中井康之)]
新年度をこのような危機的状況で迎えることを、誰が想像していたであろうか。私自身、前回の学芸員レポートを用意していた2020年の1月後半から2月10日頃まで、韓国の国立現代美術館の学芸員と交わしたメールを見直すと、中国武漢での新型ウィルス発生...
国立アイヌ民族博物館 2020 ──開館を目前に控えて
[2020年04月15日号(立石信一)]
国立アイヌ民族博物館を含む 民族共生象徴空間(愛称「ウポポイ」) がオープンする ★1 。博物館に限って言えば、東北以北で初の国立博物館であり、全国では8館目となる。また、先住民族を主題とした初の国立博物館でもある。 そこで、本稿では民族共...
例外状態で鑑賞がもたらす意味──ニコニコ美術館で観る『ピーター・ドイグ展』と絵字幕版『うたのはじまり』
[2020年04月01日号(田中みゆき)]
本来であれば今頃は、街中はオリンピック一色で各文化プログラムもそろそろ始まろうとしているはずだった。しかし現実には、私たちは歴史に残る例外状態の只中にいる。各国は門戸を固く閉ざし、見えないものとの終わりなき戦いと迫り来る経済危機を前にわたし...
「地元」と世界──「インプリントまちだ展2020 すむひと⇔くるひと —『アーティスト』がみた町田—」を企画して
[2020年04月01日号(町村悠香)]
「地元ゆかり」の作家や地元の風景を描いた作品を収集・展示するなど、地域に寄り添った活動は公立美術館の重要なミッションのひとつだ。だが改めて考えると「ある土地にゆかりがある」というのはどのようなことを指すのだろうか。筆者が企画担当した「 イン...
未来への夢とテクノロジーの進展のあいだで──「インポッシブル・アーキテクチャー」/「未来と芸術展」
[2020年03月15日号(能勢陽子)]
ほぼ同時期に、国立国際美術館で開催されていた「 インポッシブル・アーキテクチャー ──建築家たちの夢 」(2019年2月から埼玉県立近代美術館を皮切りに4館を巡回/以下、「インポッシブル・アーキテクチャー」)と森美術館で開催されていた「 未...
「ローカル」とは何か:青森県立美術館の二つの展覧会をめぐって
[2020年03月15日号(工藤健志)]
青森県立美術館の2019年度下半期は「青森」の風土に根ざした地域密着型、問題提起型の展示が続いた。「 青森EARTH2019:いのち耕す場所 ──農業がひらくアートの未来 」(2019年10月5日〜12月1日)と、「 ローカルカラーは何の色...