キュレーターズノート
バックナンバー
物語を紡ぎ、文化の変容に立ち会う──四国の二つの展覧会より
[2020年03月01日号(橘美貴)]
今回は四国内での二つの展覧会を紹介しつつ、物語をモチーフにした作品に着目する。地方で展示される作品において、物語はどのような役割を持つのだろうか。作品と鑑賞者の間に物語を置くことによって、鑑賞者は物語の要素を読み取ろうと一歩引いた客観的な立...
災害とアート──伝承のためのアーティスティックな試み
[2020年03月01日号(山内宏泰)]
大災害等によって機能停止し、拠り所を見失った非日常的な被災社会にとって、アートは現状を打破するために必要な興奮剤、あるいは一時の安らぎを与えてくれる精神安定剤として大きな影響力を持つことになるのだが……。 東日本大震災の発生以降、私は国内外...
金沢から十和田へ
[2020年03月01日号(鷲田めるろ)]
4月1日より、小池一子の後任として、 十和田市現代美術館 の館長を務めることになった。 私が初めて十和田市現代美術館を訪れたのは2008年5月、開館直後の頃である。2004年に開館した 金沢21世紀美術館 のコンセプトを、よりラディカルに推...
「もの派」事始めを探る──関根伸夫、李禹煥、郭仁植
[2020年02月15日号(中井康之)]
昨年5月に逝去した「関根伸夫さんを偲ぶ会」が、年初の1月12日に東京の学士会館で開かれた。享年76歳。戦後日本の美術界に大きな変革をもたらしたその作家は、老いを感じさせる齢に達することなく、この世を去った。関根伸夫といえば、多くの人々が《位...
地域と作家、美術館のかかわりかた──「坂﨑隆一展 裏を返せば」
[2020年02月15日号(正路佐知子)]
畳に積み上げられた学校机。畳の上に敷かれた電気カーペットに横になり、見上げたスクリーンには、高校での状景が映し出されている。机には、高校生活を捉えた写真が並ぶ。彼らの表情は、倍以上の歳を重ねた者には眩しく映るが、何気ない高校生活の一場面にす...
We Age──年をとる私たちと京都芸術センターの20年
[2020年02月01日号(山本麻友美)]
京都芸術センター、2000年の開設当初は、施設や事業運営、(私を含む)スタッフ自身にも未熟な部分が多く、いま以上にアーティストを含め関係者には多大なる迷惑やストレスを与えていただろうと思う。私は、開設前から初代のアートコーディネーターとして...
歴史とその周縁に潜在する豊かさ──「表現の生態系 世界との関係をつくりかえる」展
[2020年02月01日号(住友文彦)]
先日当館で終わったばかりの「 表現の生態系 世界との関係をつくりかえる 」展について、もっとも多く耳にした感想は美術館と博物館の展示を横断している、というものだった。それは確かにその通りだが、企画意図とは無関係だと思って真剣に受け止めていな...
非力さを再考する
[2020年01月15日号(田中みゆき)]
アート&カルチャー情報サイト「Hyperallergic」が毎年行なっている「The 20 Most Powerless People in the Art World(アート界で最も非力な20人)」の2019年版 ★1 に「障害のあるアー...
なぜアジアを語り続けるのか──第7回アジア・アート・ビエンナーレ「山と海を越えてくる異人(The Strangers from beyond the Mountain and the Sea)」
[2020年01月15日号(能勢陽子)]
シンガポールのホー・ツーニェンと台湾のシュウ・ジャウェイの二人の作家の企画による 第7回アジア・アート・ビエンナーレ のテーマは、「山と海を越えてくる異人(The Strangers from beyond the Mountain and...