artscapeレビュー

企画展「インド ポピュラー・アートの世界──近代西欧との出会いと展開」

2011年11月1日号

会期:2011/09/22~2011/11/29

国立民族学博物館本館企画展示場A[大阪府]

先日、あるインドの方からお土産をいただいた。刺繍が施された布バックだった。面白かったのはそのバックが入っていたビニル袋の絵だった。鮮やかな色を背景に、典型的なインド人女性の顔がプリントされていた。ある種の「キッチュさ」まで漂わせる。インドでプリントされたポスターやカレンダー、絵葉書、マッチレベルなどの印刷物には独特な存在感がある。本展は、インドに印刷技術が到来した19世紀末から20世紀後半にかけて、庶民のあいだで親しまれてきた宗教画や風景画、広告品などのコレクション140点を紹介し、その変遷をたどるものである。企画趣旨などが書かれた説明文を読むと、いかにもデザインがアートに昇華したかのような言い方をしているが、そもそも「ポピュラー・アート」の定義自体があいまいで、展覧会の方向性には少々疑問を感じた。ただ展示作品の奇抜な表現をみていると、「アート」と呼びたくなる気持ちがわからなくもない。とにかく面白い。[金相美]

2011/09/29(木)(SYNK)

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