artscapeレビュー

「メアリー・ブレア──人生の選択、母のしごと。」展

2011年11月1日号

会期:2011/09/22~2011/10/10

大丸ミュージアム〈梅田〉[大阪府]

ディズニー・スタジオで活躍したアーティスト、メアリー・ブレアの生誕100年を記念して行なわれた展覧会。スタジオジブリの所蔵する作品を中心として、水彩画に始まり、ディズニーのためのコンセプト・アート、絵本、広告デザイン、家族を描いたプライヴェートな作品まで、彼女の多彩な仕事を一堂に見ることができる。もともと美術学校で水彩画を専攻した画家であったが、ウォルト・ディズニーとの出会いを経て、カラー・スタイリストとして《シンデレラ》《ピーター・パン》《ふしぎの国のアリス》に参加。50年代末から60年代にかけては、フリーランス・デザイナーとしても活躍する。本展では、その広告物が展示されている。乳製品やココアなどの広告には、頭部の大きな愛らしい、彼女の作品に特徴的な子どもたちが多く登場する。ブレアは、ディズニーランドのアトラクション《イッツ・ア・スモール・ワールド》のデザインを担当したことで知られる。同作が端的に表わすように、明るい色と様式化されたかたち、いきいきとした登場人物たちによって織りなされる、創造力溢れるイメージの数々は、根源的な生への喜びとでもいうべきものを秘めている。見ると、元気の出る展覧会だ。本展は、来春に名古屋を巡回。[竹内有子]

2011/10/07(金)(SYNK)

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