artscapeレビュー

そこに立つ、存在する 楢木野淑子 展

2013年12月01日号

会期:2013/11/11~2013/11/30

ギャラリーwks.[大阪府]

近年の若手陶芸家、特に女性の傾向のひとつに、過剰で細密な装飾性が挙げられる。楢木野もその一端に属する作家である。装飾といってもさまざまだが、彼女の場合はアクセサリーなどでつくった型からパーツをつくり、それらを作品表面に張り込むタイプだ。また半透明の釉薬によるカラフルな彩色も特徴である。この手の作家は、縮み志向に陥る危険があるが、楢木野は今回、その逆を行った。巨大な柱状立体4点を出品したのである。作品表面は太陽や動植物の装飾に溢れ、空間全体が気のようなもので満たされている。彼女が目指したのは、例えば神社の鳥居のように、そこに存在するだけで空間を変容させる作品だ。さらに数を増やして広い空間で展示すれば、一層素晴らしくなるだろう。大作に転じた今回の判断は正しいと思う。

2013/11/11(月)(小吹隆文)

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