artscapeレビュー
プレビュー:チェルフィッチュ『地面と床』
2013年12月01日号
会期:2013/12/14~2013/12/23
KAAT神奈川芸術劇場[神奈川県]
チェルフィッチュの『地面と床』が今月のレコメンド作品です。サンガツが音楽を担当するのみならず、「音楽劇」と銘打って音楽と劇との対等な関係を模索するということが、岡田利規本人の言葉として語られています。このあたりのアプローチは、かねてから岡田が試みてきたことの延長上にあるものとも思えるのだけれど、今回ではどんな表現で新たな指針を示してくれるのか、楽しみだ。いや、そういった穏当な期待だけではまずいだろう。どうも、これまでずっとチェルフィッチュを牽引してきた俳優・山縣太一が今回を最後に劇団を離れるようなのだ。詳細は不明だが、山縣本人のFacebookでのコメントを見ると、劇団やプロダクション側とうまくいっていないなどの話が綴られている(部外者が口を出すことではまったくないのだけれど、彼が訴えている役者の地位向上については、舞台関係者は真剣にその改善の可能性について考える必要があるだろう。なんといってもこれだけの成功を収めているチェルフィッチュの役者が訴えていることなのだから)。山縣のパフォーマンス=チェルフィッチュと思う部分もあったので、このことが事実ならばとても残念なことだし、山縣の出演するチェルフィッチュを見るひょっとしたら最後の機会となる可能性があるので、その意味でも、見逃すことはできない。
2013/11/29(金)(木村覚)