artscapeレビュー
神村泰代展「黙祷 silent prayer」
2016年08月01日号
会期:2016/07/12~2016/07/17
アートスペース虹[京都府]
展示室には約50個の金色のオルゴールが天井から吊られていた。壁面には造花を刺したオルゴールも数台あるが、これは装飾といった感じ。オルゴールを避けながら奥へと進むが、間隔が狭いので時々当たってしまう。しかし、振り子のように揺れるオルゴールも、それはそれで音楽的だ。オルゴールのねじを巻いてみたが、音はしない。櫛歯の部分をずらして、シリンダーと接触しないよう細工されているのだ。どうやら1個だけ音の出るオルゴールがあるらしい。では、その1個を探し出すのが本展のテーマなのか。否、無音を聞くこと、沈黙の時間を黙祷と見なし、小さな祈りを捧げることが本展のテーマなのだ。唯一音が出るオルゴールは希望を象徴しているらしい。だとすれば、その1個を探し出すことも、あながち間違いとは言えないのかも。そんな思考の堂々巡りをしながら本展を楽しんだ。
2016/07/12(金)(小吹隆文)