artscapeレビュー

Undressed: A Brief History of Underwear

2016年10月01日号

会期:2016/04/16~2017/03/12

ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館[イギリス、ロンドン]

タイトルにあるとおり、女性向け、男性向けの下着、200点余りの展示品によって、18世紀から現在までの西欧の下着の変遷を一望する展覧会。人の肌にもっとも近く個人的な衣類である下着、それは本質的にエロティックなものであり、下着の形状やフィット性、素材や装飾には、その時代の文化や社会におけるジェンダーやセックス、モラルに対する考え方が反映されている。そのような視点のもと、本展は「衛生と快適性」、「形態変化の装置」、「ランジェリーとくつ下」、「革命と変換」の4部で構成されている。第1部では身体を保護したりリラックスさせたり、また運動性を向上させたりする機能的な下着が、第2部ではコルセットやクリノリン、バッスルなどドレスの外観を形成するための下着が、第3部ではストッキングやガーター、ペティコートやスリップなど異性の視線を意識した下着が、第4部では現代のデザイナーたちが手掛けたアウター化した下着が展示された。展示スペースは、広大な美術館の一角、ファッションの展示室内に設けられており、16世紀から現代までの服飾の歴史をたどる常設展示とあわせて、あたかもドレスとその内部を見比べるかのような構成になっている。[平光睦子]

2016/09/08(木)(SYNK)

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