artscapeレビュー
未知の表現を求めて ─吉原治良の挑戦
2016年10月01日号
会期:2016/09/17~2016/11/27
芦屋市立美術博物館[兵庫県]
関西に住んでいると、美術館で吉原治良の作品に出合う機会が多い。そのせいか、彼の主要作品を知っている気になっていたが、本展を見てそれが浅はかな思い込みだと分かった。本展は、芦屋市立美術博物館と大阪新美術館建設準備室(以下、大阪新美)のダブル主催だが、出展数約90点のうち約2/3が大阪新美のコレクションで、大阪新美が吉原作品をまとめて公開するのは2005年の「生誕100年記念 吉原治良展」以来だという。しかも初公開の作品が約20点もあるというのだから、筆者以外にも驚いた人は多いと思う。展示は年代順に構成され、戦前から終戦直後の作品に見慣れないものが少なからず含まれていた。展覧会のクライマックスは具体美術協会結成から晩年に至る期間だが、ここでの導線が少々ややこしく、先に最晩年の展示が見えてしまうのが惜しい。しかし、展覧会としての充実度は高く、優れた回顧展としておすすめできる。
2016/09/16(金)(小吹隆文)
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