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田中秀介展 円転の節

2016年11月01日号

会期:2016/10/14~2016/10/23

ギャルリ・サンク[奈良県]

田中秀介は、日常生活で出会った情景や、自身のプライベートにまつわる場所・経験をモチーフにした絵画を描いている。作風は具象だが必ずしも再現的ではなく、主観的な構図や色遣いが特徴だ。2014年頃までの彼の作品は、自身の不安感や焦燥感の現われだろうか、一種シュールな趣が画面を支配していた。それはそれで面白いのだが、このパターンでどこまで引っ張れるのだろうかと勝手な心配をしたものだ。ところが、昨年に京都で行なった個展では作風に変化が見られた。より私小説的というか、淡々と描写する傾向が見受けられたのだ。それでいて主観的な構図や鮮やかな色遣いを残している点に、彼ならではの特徴が感じられる。本展の作品もその延長線上にあったが、彼ならではの個性が自然なかたちで滲み出ており、納得できるものだった。おそらくこの方向性で正解だろう。

2016/10/15(土)(小吹隆文)

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