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国立カイロ博物館所蔵 黄金のファラオと大ピラミッド展

2016年11月01日号

会期:2016/10/01~2016/12/25

京都文化博物館[京都府]

「ピラミッド」をテーマに、国立カイロ博物館が所蔵する100点余りの発掘品・副葬品・宝飾品を展示している。見どころのひとつは「アメンエムオペト王の黄金のマスク」(前993-984年)、一枚の金の板から打ち出したマスクには、精巧なガラスでできた象嵌の目がはめ込まれており、技術の高さと美しさに驚く。もうひとつが、「アメンエムペルムウトの彩色木棺とミイラ・カバー」(前1069-945年頃)。蓋の木地の上には、びっしりと隙間なく描かれた様々な図像による装飾が見える。生と死・宇宙・信仰などを示す象徴に満ちたその装飾には、目が惹きつけられる。19世紀西欧のデザイナーたちが、エジプトの装飾様式にあれほど魅入られて、折衷主義的に装飾を用いたのにも頷ける。女性にとっては、ジュエリーのデザインも見逃せないだろう。黄金やラピスラズリ・トルコ石のビーズ、貴石でできたヒエログリフ、愛らしい動物モチーフなどで作られる襟飾りは、繊細な技術と独創性が際立つ。古代エジプトのきらびやかな工芸品の技術・デザイン性にも注目。[竹内有子]

2016/10/13(木)(SYNK)

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