artscapeレビュー

南繁樹・大石早矢香展

2017年02月01日号

会期:2017/01/14~2017/01/22

祇をん小西[京都府]

ともに30代の若手陶芸家夫婦が2人展を開催。キーワードは「装飾」だ。南の作品は白磁で、表面を覆う幾何学的な凹凸模様が大きな特徴。きわめて精緻な仕事であり、磁器特有のクールな性質との相性もきわめて良い。一方、大石の作品は陶芸で、花、植物、生き物などの有機的なモチーフが過剰なまでに装飾されている。初めて作品を見たときはマイセン人形のような可愛らしいものかと思ったが、実際はアニミズム的というか、有機性で艶めかしいものだ。特に女性の素足をモチーフにした作品は、かかと部分がハイヒール状にびっしりと装飾で埋められており、背徳的なエロティシズムを感じた。また、トロフィーのような大作も、女性のボディや手足と装飾が複雑に絡み合っており、非常に見応えがあった。という訳で、やや大石の説明に偏ってしまったが、2人の作家がそれぞれの個性を出し切った気持ちのよい展覧会だった。それにしても2人が夫婦だったとは。画廊で大石から教えてもらい、本当に驚いた。

2017/01/17(火)(小吹隆文)

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