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「福を運ぶ朝鮮王朝のとりたち」展

2017年12月01日号

会期:2017/07/27~2017/12/05

高麗美術館[京都府]

酉年の2017年も間もなく終わり。本展はそんな今年を振り返って、日々の生活にある小さな幸福をかみしめるに適した展覧会である。出展されるのは、朝鮮王朝時代の人々の暮らしに根差した工芸品およそ80点。民画、屏風、青磁の器、水滴や硯、染付の壺等のなかに表われる鳥の表現は多様でありながら、そのどれもがのびやかな形象とポジティヴなイメージを見る者に伝える。例えば、《刺繍花鳥図屏風》のように四季の花々とともにいる鳥たちはたいがい「つがい」となっていて、家庭内の平和や愛情を象徴している。一方、花は人生を表わすものとして尊ばれ、とくに華麗な牡丹は富貴を象徴することで知られる。また、柳宗悦が名付けた「民衆的絵画」こと「民画」は、いわゆるアカデミックな技法に捉われない自由奔放さ、素朴さやユニークな表現が魅力である。《三災消図》に表われる鷹の姿は、勇壮でありつつも、それこそ災いを取り払ってくれるようデフォルメされた大きな足の表現が面白い。息災を遠ざけて吉祥をもたらす鳥たちは、かように人々の幸せを願って作られた、福のシンボルなのである。当時の工芸品に込められた願いが、時を超えて私たちに幸福を運んでくれるようだ。[竹内有子]

2017/11/4(土)(SYNK)

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