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金沢の建築/DXP(デジタル・トランスフォーメーション・プラネット)─次のインターフェースへ

2023年11月01日号

会期:2023/10/07~2024/03/17(DXP展)

金沢21世紀美術館[石川県]

2021年の若手建築家展「U35」に参加し、陶芸家でもある奈良祐希が設計した《Node》(株式会社家元 新社屋/2023)を訪れた。金沢駅から西側の問屋町に建つ、2層の住宅メーカーの社屋だが、街に開かれたシェアオフィスやセミナー用の部屋のほか、地上階では、カフェやギャラリーを併設する。


奈良祐希設計の《Node》(2023)


《Node》は今年の春に誕生した交流施設であり、パフェを目当てに人で賑わうカフェは彼の提案によって入れたプログラムだ。ギャラリーではちょうど彼の陶芸を展示していたが、今後は金沢美大と協働し、学生の作品を展示するという。交差する細い路地と緑道によって、建物のボリュームを分節しつつ、隙間にプラントハンターの西畠清順が選んだ植栽が入り、北棟と南棟の2階は渡り廊下でつなぐ。また南棟は高さを抑え、北棟に光を導く。建築のデザインとしては陶芸家らしく、大胆に土壁を導入していること、また木造ながら、オフィス内のトラスによって実現した5メートルのキャンチレバーの構造が見所だろう。金沢では、ルーバーによる縦格子を用いる現代の建築が目立つが、そうではない手法によって金沢らしさを感じさせる。


《Node》カフェスペース


《Node》2階のトラス


奈良の陶芸作品が展示されていた《Node》ギャラリー


さて、金沢21世紀美術館の若手学芸員チームが企画に参加した「DXP(デジタル・トランスフォーメーション・プラネット)」展は、アーティスト、科学者、デザイナー、建築家など、さまざまな角度からデジタル環境の可能性を探るものだが、ここでもU35出身(2019、20年に出品)の建築家、秋吉浩気が率いるVUILDの作品と出会った。来場者がマイクに向かって喋った言葉のイメージから、AIが椅子の3Dモデルを生成し、部屋に設置された木材加工のCNCルーターによって実際につくることができる工房である。すなわち、専門的な知識や技術がなくても、誰もがデザインができるというわけだ。


「DXP」展より、VUILDの作品。CNCルーターが設置された工房


「DXP」展より、VUILDの作品。来場者の言葉を元に生成された3Dモデルからつくられた椅子


ほかにも建築の分野からは、XR(クロス・リアリティ)の技術を用いて、館内において金沢の降水量を可視化させるコレクティブのGROUPや、廃墟写真をAIによって生き生きした空間に変容させるメルべ・アクドガン(今年のヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展のトルコ館にも出品したもの)が参加している。ともあれ、新しいデジタル・テクノロジーが、衣食住を含めた生活の全体に影響を与えていくことを提示する展覧会ゆえに、建築も重要な分野となっていた。


「DXP」展より、GROUPの作品



DXP(デジタル・トランスフォーメーション・プラネット)─次のインターフェースへ:https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=17&d=1810

2023/10/14(土)(五十嵐太郎)

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