artscapeレビュー

イグナシオ・ラミレス文化センター(エル・ニグロマンテ)

2024年02月01日号

[メキシコ、サン・ミゲル・デ・アジェンデ]

メキシコシティの北東に位置する美しい街グアナフアトに一泊し、そこからバスで1時間ほどのサン・ミゲル・デ・アジェンデという街に来た。美術と工芸の街として知られているそうだが、ここにダビッド・アルファロ・シケイロスの壁画があるというので訪れた。この文化センターはもともと芸術学校だったそうで、ここで講座を受け持ったシケイロスが実習として大教室に壁画《イグナシオ・アジェンデ将軍の生涯と仕事》(1948)を描いたのだが、複雑なかたちの壁と天井は抽象的に色分けされ、無数の線が引かれているだけ。シケイロスとしては珍しいなと思ったら、どうやら学校長との政治的見解の相違から制作を中断して未完成に終わったらしい。幾何学的な線も下描きの補助線のようだが、これはこれで見る価値はあった。



イグナシオ・ラミレス文化センター ダビッド・アルファロ・シケイロスによる壁画 [筆者撮影]


イグナシオ・ラミレス文化センター(エル・ニグロマンテ)(Centro Cultural Ignacio Ramírez El Nigromante ):https://elnigromante.inba.gob.mx/

2023/12/30(土)(村田真)

2024年02月01日号の
artscapeレビュー