artscapeレビュー
山海塾「金柑少年」
2009年04月01日号
会期:2009/03/07~2009/03/08
東京芸術劇場 中ホール[東京都]
戦時や終戦を想起させる学生服を着た少年の場面、クジャクとともに踊る場面、小さい「やっこさん」のごとき格好で踊る場面、ラストの赤い逆三角形のボードの下で踊り手が逆さに吊される場面、印象に残る場面は多いし、そこに遍く行き渡る独自の美意識や身体訓練の達成度など、見所は随所にあった。反復する動きが多くてそう思わせるのか、はじまった瞬間ショッキングだった光景は、次第に美しさへと昇華される。これをどう捉えるかが、本作と言うよりも山海塾というものへの評価の分かれ目だろう。ともかくセンスがいい(オシャレ)、とくに選曲。大駱駝艦が吉祥寺ならば、山海塾は目黒や代官山。ひと頃のカフェやラウンジのような音楽のチョイス、そう思えばラストの宙吊りはミラーボールに見えなくもない? 世の流れに応じた演出(厳密に言えば90年代的かも)が目立った。
山海塾:http://www.sankaijuku.com/
2009/03/07(木)(木村覚)