artscapeレビュー

展示の展示 豊嶋秀樹の仕事について

2010年04月01日号

会期:2010/03/09~2010/03/20

OZC GALLERY+CAFE[大阪府]

クリエイティブ・ユニット「graf」の設立メンバーであり、現在は「gm project」として活動している豊嶋が、珍しく本人名義の個展を開催。会場に入ってみると彼自身の作品らしきものはなく、過去の奈良美智との協同作業などを記録した映像が流れるのみ。ほかは会場とゆかりのある作家の作品が少々展示されているぐらいだ。頭の中を「?」が駆け巡る。「これは大コケの展覧会ではないか」と。しかし会場をよーく見ると、至る所に付箋が貼ってある。そこには豊嶋によるメモ書きの数々が。これこそが本展のキモ。豊嶋が作品をつくるのではなく、彼の仕事のドキュメントをするのでもなく、会場と作家による交感の過程そのものが展覧会として提示されているのだ。非常に珍しいタイプの展覧会だが、場と人の関係を見せる新たな方法論と成りうるのではないか。

2010/03/11(木)(小吹隆文)

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