artscapeレビュー

超京都 現代美術@杉本家住宅

2010年06月01日号

会期:2010/05/15~2010/05/16

杉本家住宅[京都府]

京都市の文化財であり、今年7月には国の重要文化財に指定される杉本家住宅。江戸時代の豪商のたたずまいをいまに伝えるこの町家で、一風変わったアートフェアが開催された。1週間前に開催された「アートフェア京都」と比べても場の独自性が際立っており、まさに京都以外ではあり得ないイベントであろう。フェアなので本来は売れ行きに関心を持つべきだが、ついつい展示に目が行ってしまう。床の間で茶器と抽象絵画の競演を演出した児玉画廊、仏間を生かしたMATSUO MEGUMI+VOICEGALLERY pfs/w、和室と親和性の高い作品を天井から吊るして印象的な展示を行なった東京画廊+BTAP、店の間と土間でネオン作品や人工的な着色のオブジェを展開したSUPER WINDOW PROJECTなど、挙げ始めたらきりがない。なかでも圧巻だったのが、杉本博司と須田悦弘を擁したギャラリー小柳。前栽を臨む座敷という最高の空間を生かして、見事というしかない美空間を出現させた。こうした各画廊のプレゼン合戦(意地の張り合い?)が拝めたのも、本イベントならではの楽しみだった。

2010/05/14(金)(小吹隆文)

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