artscapeレビュー
ホナガヨウコ企画 音体パフォーマンス『リアル感電!!』
2010年06月01日号
会期:2010/04/24~2010/04/25
川崎市アートセンター アルテリオ小劇場[神奈川県]
d.v.dとホナガヨウコがつくりだす空間はとてもポップだった。両側にドラマーを配置し、奥の巨大なスクリーンを通してシンプルでカラフルな映像を映す、そのなかでダンサーがシンプルかつキャッチーな仕草を繰り出してゆく舞台。音(聴覚的データ)が身体(視覚的データ)で表現される場合もあれば(ドラマーの一打一打にダンサーがリアクションするとか)、身体表現に動機づけられ音が発せられる場面もある(ダンサーたちが互いに指さしするジェスチャーに合わせてドラマーが刻むとか)。もともとこうした視覚的データと聴覚的データの交差を音楽演奏に活かしていたd.v.dとのコラボ。“音体パフォーマンス”と自らの表現を呼ぶホナガヨウコは、視覚的データと聴覚的データの相互作用を軽やかに遊んだ。以前のサンガツとのコラボなど、こうしたポイントへの自覚的なアプローチは楽しいし今後の展開を期待させる。ポップな振付もフレッシュに映る。とくに、ダンサーの望月美里からは、単に個性という以上に、リアルな若者を表象するアイコンとしての力が感じられ、魅了された。でも、シンプルな振付は、ダンサーたちの力量だけでなく各人のキャラとしての輝きにその魅力の多くがゆだねられてしまうところがあり、キャラ揃いのダンサーばかりであればその見え方はまた違っていたのかもしれない。
2010/04/24(土)(木村覚)