artscapeレビュー

プレビュー:快快『SHIBAHAMA』

2010年06月01日号

会期:2010/06/03~2010/06/13

東京芸術劇場 小ホール1[東京都]

6月は快快の『SHIBAHAMA』をお見逃しなく。彼らのつながり欲求は近年ますますどん欲になっている。昨年末の『快快のGORILLA』で催眠術師や岡田利規を招いたイベントはもちろん印象的だったし、今年春の蓮沼執太との交流も記憶に新しい。人間とのつながりだけでなく、演劇というフォーマットのなかに、多様な表現方法や素材を集めてきては放り込む雑食性も彼ららしいところ。本誌にすでに書いたように、本作のショートヴァージョンの上演を見たのだけれど、その際には、落語『芝浜』がラップとつなぎ合わされ、さらに客席は花見というかキャバクラを模した空間になっていた。今回の本公演では、さらにバンドも出演するらしいので、さらに一層のつながり状態が生まれてしまうに違いない。ここまでくると、演劇というよりは情報誌? 世界のさまざまな素材をレイヤーにして束ねてみたら、そこからなにが見えてくるのか? ぼくは彼らに現代におけるミュージカルの可能性を追求して欲しいなんて気持ちもあって、いままで以上に広範な観客層に訴える作品になることを大いに期待したい!

2010/05/31(月)(木村覚)

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