artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
トラがぐるぐるまわってバターになる。
会期:2014/01/21~2014/01/30
黄金町高架下スタジオ・サイトAギャラリー[神奈川県]
池田拓馬、小林孝一郎、坂裕子、山根一晃という30歳前後の4人展。このうち池田と小林は知ってるが、以前見た作品ほどのインパクトはなかった。坂はさまざまな色彩の糸を使った平面と立体の刺繍作品で、フェミニンな志向があるのかもしれないが、いずれも余った糸が何十本も垂れて滴り落ちる絵具を想起させる点で絵画的だ。山根はアメリカの消費文化に触発されて、価値あるものと無価値なものの境界を曖昧にしようとしている。たとえば1ドル紙幣に9.99ドルのシールを貼って壁にピンで留めただけの作品とか見ると、類似品はありそうだけどついうれしくなってしまう。これ、いったいいくらで売るんだろう?
2014/01/28(火)(村田真)
關口佳明展「ウォーター・ワーク」
会期:2014/01/23~2014/01/28
銀座西欧ギャラリー[東京都]
細長いギャラリーを3部屋に分けて展示している。作品は、画面の一部が垂直に流れ落ちるような抽象表現主義的絵画。黒い地塗りを施し、その上からアクリル絵具を塗り、乾かないうちに水で流してるらしい。その飛沫や滴りが見せどころかもしれないが、やっぱりモーリス・ルイスの「ヴェール」か、千住博の「滝」を思い出してしまうなあ。
2014/01/25(土)(村田真)
ミヒャエル・ボレマンス展
会期:2014/02/11~2014/03/01
ギャラリー小柳[東京都]
原美術館と同時開催。こちらは4号から6号程度の絵画8点の展示。小サイズのわりにキャンヴァスの厚みがあり、その側面も褐色に塗られているため、石板のようなボリューム感が印象的だ。描かれているのは、女性がややうつむき加減で両手でなにか仕草をしているところ。背景も服もグレートーンで、サラサラッと描いてる。これはほしくなるなあ。
2014/01/25(土)(村田真)
平戸貢児展
会期:2014/01/09~2014/01/25
ギャラリーなつか[東京都]
アンゼルム・キーファーが遠近感を強調して描き出したような、古代遺跡を思わせる建築的な金属彫刻。タイトルは《CULTIVATION-Silver wall-》で、作者によれば「古代から連綿と続く人びとの行いや息づかい、それはまた、人が育み培うことで、文化や文明という名の壮大なエネルギーとなって蓄積されていく」。80年代にデビューしたポストもの派らしく、かたくなに普遍的なるものを求めている。
2014/01/25(土)(村田真)
木戸龍介展
会期:2014/01/07~2014/01/28
LIXILギャラリー[東京都]
正方形のテーブル上に白い石を敷き、そこに色とりどりのスイッチを並べている。わずかに匂いがする。別のテーブルには灰になったスイッチも並んでいて、素材がお香だとわかる。灰になったピストルや、お香でつくったブロックを都市のように組み立てたもの、それが崩れたものもある。お香、燃焼、香り、灰と彫刻的でない要素に加え、スイッチやピストルといった意味深なモチーフ。盛りだくさんすぎる。
2014/01/25(土)(村田真)