artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
滝沢達史「全部」今まで作ったものをまとめて展示する
会期:2014/02/10~2014/02/22
ステップスギャラリー銀座[東京都]
わりと真っ当な初期の絵画をはじめ、ミニフィギュアを用いたオブジェとか、満月模様の丸い石鹸とか、ポップコーンをつなげてつくった彫刻とか、大小合わせて60点の在庫一掃セール。作品をつくりためてる作家にとって、高く売れるまで持ちこたえるか、それとも安く売って一掃するかジレンマだ。どっちにしろ売れればいいけど。
2014/02/20(木)(村田真)
ネオ・ダダ新作展 2013-2014
会期:2014/02/17~2014/03/08
ギャラリー58[東京都]
1月に秋山祐徳太子をやったばかりのギャラリーで、今度は赤瀬川原平、篠原有司男、田中信太郎、吉野辰海の4人によるネオ・ダダだだだ。ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズは1960年に結成され、1年たらずで解散した伝説的な前衛グループだが、出品はすべて新作。よくも悪くもいまだネオ・ダダ的なのは、蛍光色を使った大型ペインティングと水彩を展示した篠原だろう。この半世紀ほとんどブレがない。吉野も相変わらず奇怪な犬人間の彫刻を出している。逆に田中は60年代にいち早くミニマルアートに転じ、今回はサイズも形態も台座さえもミニマルな彫刻を出品。この半世紀間もっとも変転に富んでいたのは赤瀬川かもしれない。ネオ・ダダの後ハイレッド・センターを結成し、千円札裁判で有罪判決を下され、超芸術トマソンを経て路上観察学会に合流し、そのあいだに芥川賞を受賞するという離れ業を成し遂げている。今回はライカ同盟以後の写真作品の展示。半世紀以上前の「ネオ・ダダ」というビッグバンから飛び散った現在の姿が見られる。
2014/02/20(木)(村田真)
九鬼みずほ個展「ただの置物、絵画まで」
会期:2014/02/11~2014/02/16
KUNST ARZT[京都府]
小さなギャラリーの壁にしつらえた棚に、人形や植物など約600体の小さな置物が並べてある。置物はどれも高さ10センチ前後で、人か草花か判別できる程度にざっくり造型され、彩色されている。脇のサブギャラリーにはその置物を描いたドローイングが飾られ、ちょっと尋常ならざるものを感じるなあ。作品ファイルを見ると、以前からモコモコした地蔵みたいなものをつくり、それを描いていたらしい。絵を描くために造型してるのか、造型したついでに絵を描いてるのかよくわからないが、そんなことどうでもいいような気がしてくるほど「作品力」を感じる。
2014/02/14(金)(村田真)
2013年度京都芸大博士展
会期:2014/02/01~2014/02/16
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA @KCUA1,2[京都府]
悪天候のせいか、ほかに客がいない。そのためやけに監視のおっちゃんの愛想がいい。会場は2フロアに分かれているが、出品は絵画、彫刻、工芸など合わせて14人(うち6人が外国人名)なのでゆったり余裕の展示。でも作品はパッとしないなあ。蛍光色とラメを多用した中田有美のポップなアンフォルメル絵画が目を引いた程度。
2014/02/14(金)(村田真)
作家ドラフト2014:鎌田友介「D Construction Atlas」展/高橋耕平「史と詩と私と」展
会期:2014/02/08~2014/03/09
京都芸術センター[京都府]
みぞれの降るなか京都へ。まずは建築家の青木淳が選んだ二人の若手作家の個展を見る。高橋耕平は映像作品だが、しばらく見てたけどおっさんが黒板に文字を書いてるだけでなかなか展開しないので出た。鎌田友介はアルミサッシを組んで屏風のようにジグザグに立て、その枠内に角材や画像をはめ込んだ作品。手前のほうは角材を桂離宮かモンドリアンのように垂直・水平に組んだ幾何学的構成だが、奥に進むと斜めの平行線が入って絵巻風になり、さらに一点透視図法的になり、最後は角材が折れて全体が崩壊していく構成だ。その隙間に第2次大戦での京都の被災画像や、米軍による空襲シミュレーション資料が差し挟まれている。解説を読むと「京都における構築と破壊の歴史についての個人的なリサーチとマッピング」云々と書いてある。なるほど作者の意図も視点も納得できるし、それを内外の絵画構造によって示した構成も説得力がある。わかりやすすぎもしないし、わかりにくすぎもしないという意味では優等生的な作品だ。難をいえば、優等生すぎて突き抜けるものがないことか。
2014/02/14(金)(村田真)