artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
第38回東京都立芸術高等学校美術科卒業制作展
会期:2010/02/12~2010/02/19
東京都美術館[東京都]
前2展よりはるかにのびのびいきいきした絵が多い。そりゃ公務員の絵のほうが子どもよりのびのびいきいきしてたら日本はおしまいだ。岡志憧の現実をマンガ化したような絵をはじめ、何点か注目すべき作品があった。しかし目録を見て驚いたのは、出品者40人のうち男子生徒が4人しかいないこと。油絵コースに3人とデザインコースに1人、日本画と彫刻は全員女子。
2010/02/16(火)(村田真)
第32回文化会展
会期:2010/02/13~2010/02/19
東京都美術館[東京都]
その隣でやっていたこの展覧会は、教育庁職員文化会の主催。出品目録を見ると、都内の図書館や体育館や武道館や芸術劇場や都美術館の職員もいる。こちらのほうが教職員よりまじめにキッチリ描いてる感じ。教職員のほうはうまいヘタは別にして抽象もあって余裕が感じられたけど、こちらの職員さんはなんというか一生懸命リアリズムで描こうとしてるのに手が追いつかない感じ。そのひたむきさが図らずもグロテスクな美を生み出している稀有な作例もあって、あなどれない。
2010/02/16(火)(村田真)
第60回東京都教職員美術展
会期:2010/02/13~2010/02/19
東京都美術館[東京都]
タダだからついでに寄ってみる。区立市立の小中学校から都立高校まで、都内の公立学校の先生の展覧会。この程度の方々が子どもに絵を教えてるのかと思うとがっかりするが、どこにも「美術の先生」とは書いてない。ならば先生の趣味の集まりかというと、団体展並に招待枠があったり賞があったりして、いまいちめざすところが見えないのだ。どうでもいいけど。
2010/02/16(火)(村田真)
ボルゲーゼ美術館展
会期:2010/01/16~2010/04/04
東京都美術館[東京都]
ボルゲーゼ枢機卿の集めたコレクション展だけに、圧倒的に宗教画が多い。もう見慣れたはずなのに、魚に説教する聖アントニオとか、聖痕を受ける聖フランチェスコとか、人妻の裸をのぞき見る老人たちとかを見ると、あらためてなんとウサンくさい宗教なんだろうと思う。だからおもしろいのだが。ほかに同展の見どころは、マルチェッロ・プロヴェンツァーレによる美しいモザイク、アルキータ・リッチによる《支倉常長像》だ。とりわけ慶長遣欧使節の団長を描いた後者は、初めて油彩画で表わされた日本人の公式肖像画ではないか。白い絹地に金糸で動植物を刺繍した着物が伊達だ。つーか、彼らを派遣したのは伊達政宗だもんね。
2010/02/16(火)(村田真)
ラファエル・ローゼンタール“I am good”
会期:2010/01/23~2010/02/20
タクロウソメヤコンテンポラリーアート[東京都]
いつまでも爆発し続けたり、どこまでも風景が移り変わったり。あるいは、マウスを動かすと傷口ができて血が滴ったりするカラフルなアニメーション。ネット上で作品を公開し、販売もするのだが、売るのは作品が載るドメインそのもので、売った後もだれでも見られるようにコレクターと契約を交わすという。これはおもしろい。そのアイデアスケッチみたいなドローイングも手抜き加減が絶妙。
2010/02/13(土)(村田真)