artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
巧術
会期:2010/04/02~2010/04/07
スパイラルガーデン[東京都]
出品作家は、中村哲也、須田悦弘、カンノサカン、あるがせいじ、桑島秀樹……。彼らの名前と作品を知らない人にはなんのことかさっぱりだが、知ってる人にはそれなりの共通イメージが浮かんでくるはず。そう、巧みな術、みごとな手わざ。それにしてもレントゲンヴェルケの作家が多いなあと思ったあなた、正解。同展のキュレーターを務めるのはレントゲンの若旦那、池内務なのだ。会場には、池内好みのツルツルテカテカの手づくりハイテク製品がシャキーンと並ぶ。でも、内海聖史はちょっと違う気がしないでもない。
2010/04/07(水)(村田真)
マネとモダン・パリ
会期:2010/04/06~2010/07/25
三菱一号館美術館[東京都]
丸の内のビジネス街に現われたレンガづくりの建物が三菱一号館美術館。もともと三菱一号館は、19世紀末にジョサイア・コンドルの設計でこの地に建てられたビルの名。1968年に解体されたが、約40年後に復元され、美術館として生まれ変わったというわけ。その開館記念展として開かれているのが「マネとモダン・パリ」だ。マネといっても《草上の昼食》も《オランピア》も来てない。でも《ローラ・ド・ヴァランス》《エミール・ゾラ》《すみれの花束をつけたベルト・モリゾ》は来てる。ま、日本で望める最高レベルのマネ展というべきだろう。作品より気になるのが展示空間。レンガづくりの外観ばかりか内部まで昔どおりに復元し、美術館として設計変更してないため、比較的小さな部屋がいくつもあって迷路のようだ。いちばん首をかしげるのは、せっかくリッパな格子天井を再現したのに照明器具で隠れたり、使えないかたちだけの暖炉が各部屋ごとに復元されたりしていること。そりゃまあ雰囲気は出るけど、なんかディズニーランドみたいなウソっぽさが感じられないか。それなら最初から壊さなければよかったのに。
2010/04/05(月)(村田真)
きょう・せい
会期:2010/04/02~2010/04/25
京都市立芸術大学ギャラリー[京都府]
最近、美大が都心にサテライト・ギャラリーを設けるのが流行りだが、京都芸大も二条城前にギャラリーを開設した。その開館記念展の第1期に、アンテナ、苅谷昌江、若木くるみら13組が出品。といっても一人ひとりの作品が整然と並んでいるわけではなく、どれがだれの作品なのかよくわからないばかりか、いったいどこまでが作品なのかすら判然としない渾沌ぶりなのだ。もう、勝手にしなさい。
2010/04/03(土)(村田真)
たゆたう庭:山本基 個展
会期:2010/04/02~2010/04/30
eN arts[京都府]
北浜のサイギャラリーへ芳木麻里絵展を見に行ったら、肝心のギャラリーがもぬけの殻。どうやら移転しちゃったみたい。行く前にちゃんと調べましょうね。時間もないので、淀屋橋から京阪に乗って京都の祇園四条に出て、八坂神社脇のeN artsをめざす。が、今日は花見客で四条通は人であふれ、なかなか前に進まない。ようやく脇道に入ったものの、今度は茶屋や料亭が並ぶだけでギャラリーらしきものが見当たらない。と「村田さーん」との声が。ちょうど通りすぎようとしたとき、たまたま表に出ていた作者の山本氏が声をかけてくれたのだ。高級料亭みたいなたたずまいの建物がeN arts。というわけで、茶室や地下室まで設けたそのギャラリー空間にまずは驚く。床に塩で迷路のようなパターンを築いていく山本のインスタレーションは、空間そのものが重要なモチベーションになるから、今回はやりがいがあったに違いない。いつもの幾何学的な整った線ではなく、自由な線のように見えた。
2010/04/03(土)(村田真)
レゾナンス 共鳴──人と響き合うアート
会期:2010/04/03~2010/06/20
サントリーミュージアム[天保山][大阪府]
国立国際のついでに寄ってみました。ついでのわりに楽しめました。出品作家20人中、絵画が半数近くを占めるが、「絵画の庭」と重なるのは草間彌生(こっちの作品のほうがいい)と法貴信也のふたりだけ。あとはマーク・ロスコ、アンゼルム・キーファー、マルレーネ・デュマス、イケムラレイコらベテランが多い。絵画以外では、大理石の板に牛乳を満たしたヴォルフガング・ライプ、筋肉の標本みたいな人馬像を出した小谷元彦、40台のスピーカーから聖歌を流すジャネット・カーディフら、既知の「名作」に再見できた。いちばん気に入ったのは、暗い部屋の床に近い壁に穴を開け、のぞくと明るい光と緑の雑草が目に入る仕掛けのインスタレーション。作者はライアン・ガンダー。絵画でなければ、このくらいやらなくちゃ。
2010/04/03(土)(村田真)