artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
ボストン美術館展
会期:2010/04/17~2010/06/20
森アーツセンターギャラリー[東京都]
レンブラント、ミレー、モネ、ゴッホなど、キラ星のような名前が並ぶ。でも、超高層ビルの52階で展示することが許されたくらいだから、国宝級には手が届かない作品が大半。とはいえ、モネの《ルーアン大聖堂》、ドガの《田舎の競馬場にて》、ゴッホの《オーヴェールの家々》は、それだけでも見に行く価値があった。このあと京都に巡回するそうだが、名古屋ボストン美術館へは行かないらしい。
2010/04/20(火)(村田真)
周育正:レジデンシー・グッズ
会期:2010/04/17~2010/04/25
BankARTスタジオNYK[神奈川県]
横浜市と台北市によるアーティスト交流プログラムで、3カ月間BankARTに滞在していた周さんの発表。作品は映像で、「わたしはTAV(Taipei Artist Village)の補助する10万台湾ドル、日本円で285,000円をもって横浜にきた」とか、「池田さんから暖かいお招きをいただき、とてもおいしい日本料理屋でご馳走になった」とか、「わたしもこの交流プログラムが未来に向けて発展する可能性と、その資金の出所について考えている」とか、英文が流れるばかり(卓上のパソコンの画面では日中両国語が見られる)で、画像が出てこない。いつ「本編」が始まるのかと思ったら文章だけで終わってしまった。その両脇には、「アーティスト」「アート・インスティテューション」「カルチュラル・デパートメント」の3者の関係がグラフで示されている。どうやら周さんは、レジデンスに招かれたこと自体を自己言及的に作品化しようとしたらしいのだが、そのわりにレジデンシープログラムの経済的仕組みに肉迫するわけでもないし、その政治的背景を暴露しようというつもりもないらしい。どこにも着地できない中途半端さが残る。それがねらいか? まさかね。
2010/04/17(土)(村田真)
ポーラミュージアムアネックス展2010─祝祭─
会期:2010/04/01~2010/04/25
ポーラミュージアムアネックス[東京都]
ポーラ美術振興財団から助成を受けたアーティスト4人のグループ展。インクジェットプリントした画面の一部に色彩を施す遠藤良太郎、合板を樹木などのかたちに切り抜いて彩色した小木曽瑞枝、テーブル上にパーティーグッズや食器を並べた斎藤麗、ドイツに住んで日本的題材のイラストを描く内田早苗と、タイトルの「祝祭」を意識した明るく楽しげな作品が多く、居心地が悪い。おれはグサッと刺されるような作品が見たいんだ。
2010/04/13(火)(村田真)
寺崎百合子:音楽
会期:2010/04/09~2010/05/29
ギャラリー小柳[東京都]
バイオリンやパイプオルガンを鉛筆で精緻に描いている。古い書物や図書館を鉛筆で描写する小川百合によく似ているなあ、同じ小柳でかぶるだろうに……と思ったら、同一人物だった。いつのまに名前が変わったんだ?
2010/04/13(火)(村田真)
第4回展覧会企画公募
会期:2010/03/06~2010/04/25
トーキョーワンダーサイト本郷[東京都]
キュレーターの支援育成を目的とする「展覧会企画」の公募展で、今回は入選したオル太、土橋素子と仲島香、菊地容作の3組が1フロアずつ展覧会を実現。オル太は大量の素材を持ち込んで部屋全体を田舎の風景に変え、土橋と仲島はウォールペインティングの上に、ドイツで知り合ったアーティストらの作品も交えて展示、菊地は肉屋の店頭と、その舞台裏を暴き出すようなインスタレーションを発表した。3つとも選ばれるほどのおもしろさは感じるが、どれも展覧会としてもう一歩の感は否めない。パンフレットの審査員講評を読むと、珍しく会田誠がアカデミズムに対して静かな怒りをぶつけていた。会田をマジにさせてはいけない。
2010/04/13(火)(村田真)