artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
Follow up!──創造空間9001ファイナルイベント
会期:2010/03/05~2010/03/14
創造空間9001[東京都]
東横線旧桜木町駅を改装した創造空間9001のファイナル展。改札口を仕切った壁が桜の花のかたちに切りとられ、階段を上がってホームに出られるようになっている。そのホームの端から線路跡をながめると、50メートルくらい先に光るものがある。手前のテーブルに双眼鏡があるのでのぞいてみると、テレビモニターに東横線の電車が映し出されているのがわかる。もっと倍率の高い双眼鏡でのぞくと、なんと、映像のなかの電車に双眼鏡をのぞく自分が映し出されているではないか。これは最高。作者は瀧健太郎。
2010/03/05(金)(村田真)
アーティスト・ファイル2010──現代の作家たち
会期:2010/03/03~2010/05/05
国立新美術館[東京都]
とくにテーマもなく、30~50代のアーティスト7人による絵画、写真、映像を集めたアニュアル展。会期はひな祭りから端午の節句までゾロ目でそろえているが、だからといって子ども向けの展覧会というわけでもない。O JUNのキテレツな絵画は独創性で独走しているし、石田尚志の映像は、描く行為の時間性と絵そのものの無時間性の対比を際立たせている。鮮やかな色彩といいペインタリーな筆さばきといい、いまどきの絵画全開の桑久保徹の絵もいいなあ。みんな絵画だ。
2010/03/02(火)(村田真)
東京五美術大学連合卒業・修了制作展
会期:2010/02/18~2010/02/28
国立新美術館[東京都]
自宅療養のため2月下旬はほとんど外出できなかった。五美大展もあやうく見逃すところだったが、最終日に杖をついて美術館へ。学生から見りゃ場違いなジジイだな。大ざっぱにいって学校ごとの違いはあるが、共通するのはどこかで見たことあるような絵が多いこと。最大公約数的に描写すると、具象的イメージをベースに、筆触やかすれなどペインタリーなタッチを強調し、夢のような世界を描いた装飾的画面、といったところだ。だいたいこのあたりがいまの流行りなんだろう。そんなのも含めて印象に残った作品を名前だけ列挙すると、武蔵美では高石晃、森田夕貴、片山久瑠実、土井奈々恵、女子美では唐沢瑶子、造形では佐藤翠、岩室理沙、滝川織恵、多摩美では高木真希人、南理紗。全部で千人くらい出してるから、いい作品に出会える確率は1パーセントくらい。絵画以外で目についたのは武蔵美の彫刻。池永和代、石井太介、工藤伸ら、これまで卒展では見たことないような新鮮な作品だった。今年は武蔵美の圧勝だな。
2010/02/28(日)(村田真)
InsideOut of Contexts:大山エンリコイサム+荻野竜一/たまむし展:玉田多紀
会期:2010/02/20~2010/03/07
ZAIM[神奈川県]
2日前に年がいもなくムリをして肉離れを起こしてしまい、杖をついてZAIMへ。2展とも審査にかかわった「YOKOHAMA創造界隈ZAIMコンペ」の受賞作品展なので、オープニングに出なければならないのだ。前者は「ポスト・グラフィティ」を掲げる2人展で、歴史的・社会的なコンテキストにのっとった知的なテーマ設定が評価されたが、作品的にはきわめて整然としたタブローに収まり、グラフィティから連想される逸脱感がないのがものたりないといえばものたりない。一方、後者は昨年までカフェとして使っていた中庭に、たまむしならぬ恐竜の化石みたいなものを段ボールで毎日増殖させている。こちらはたくましさとわかりやすさが高ポイント。まったく対照的な2展。
2010/02/19(金)(村田真)
鈴木友昌 展
会期:2010/01/22~2010/02/20
SCAIザ・バスハウス[東京都]
コンクリートの床に高さ50~60センチの人形が4体ほど立っている。パンクの青年や黒人の旅行者の像だが、よく見ると彩色された木彫で、細部までよくできている。モチーフといい、サイズといい、仕上がりといい、これはウケそうだ。
2010/02/16(火)(村田真)