artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)

[スイス]

郊外にあるチューリッヒ工科大学(ETH)の工学系のキャンパスでの用事を終え、ヴィットリオ・ランプニャーニらの建築学科の教員に案内してもらう。想像以上に大きいのだが、どうやら地下でほとんどの棟がつながっているらしい。ヴェネツィアビエンナーレ国際建築展のスイス館でもその成果が展示されたように、ロボティクスやデジタル・ファブリケーションの分野で大きな予算を獲得しており、未来の建築を予感させるような先端的な試みに取り組んでいる。が、その一方で、CIAMや創設者である19世紀の建築家ゴットフリート・ゼンパーなど、歴史的なアーカイブもとても充実していたのが印象的だった。なお、大所帯の建築学科だが、日本からの留学生は東工大からの2名だけで、アジア人ではやはり中国が多いという。

写真:左上=ロボティクス 左中=実験建築の仮組 右中=CIAMのアーカイブ 下=ゴットフリート・ゼンパーのアーカイブ

2017/05/12(金)(五十嵐太郎)

Vibrant Metropolis / Idyllic Nature. Kirchner ─The Berlin Years

会期:2017/02/10~2017/05/21

チューリッヒ美術館[スイス]

チューリッヒ美術館へ。ドイツ表現主義を代表するエルンスト・キルヒナーのベルリン時代に焦点をあてた企画展を開催していた。彼は建築を学んで画家になり、夜の街と女たちを独特の筆致で描いていた。が、第一次世界大戦に従軍し、心を病み、療養生活に入ったところまでが紹介されていた。そして常設展示のエリアがかなり広い。スイスにゆかりが深い、幻想的なヨハン・ハインリッヒ・フュースリ、象徴主義のアーノルド・ベックリン、世紀末に活躍したフェルディナンド・ホドラー、アルプスを描いたジョバンニ・セガンティーニなどが充実している。特にホドラーの部屋は、その空間デザインも含め、緊張感がみなぎっていた。

写真:左中=エルンスト・キルヒナー 左下=ホドラーの部屋 右上から=チッパーフィールドの新美術館プロジェクト、ジャコメッティ、セガンティーニ

2017/05/12(金)(五十嵐太郎)

アルトシュタット(旧市街)

[スイス]

およそ10年ぶりのチューリッヒへ。午後に到着し、ホテルから近いノイエ・マルクト、ミュンスター通りの旧市街、リマト川沿いから中央駅までのエリアを散歩する。屋根の傾斜、古典主義の処理、教会の塔などのデザインがかわいく見えて、同じヴォキャブラリーを共有するものの、イタリア、フランスのそれとはだいぶ違う造形的なクセやスケール感をもっている。

2017/05/11(木)(五十嵐太郎)

《地図を作る保育所》

[神奈川県]

今年のU-35に出品するナノメートルアーキテクチャーが手がけたオフィス・ビルに設けられた保育所を見学する。まだ完成前だったが、天井から吊る格子、床のライン、壁、可動家具にグリッドをはりめぐらすインテリアである。場所は路面で、隣にコンビニもできるようだが、施設の性質上、外へのドアはメインの出口とせず、オフィスとも切り離す自律した空間となっているのが興味深い。

2017/05/08(月)(五十嵐太郎)

ふじのくに ⇄ せかい演劇祭2017

会期:2017/04/28~2017/05/07

静岡芸術劇場、舞台芸術公園、駿府城公園、静岡音楽館AOI[静岡県]

今年は街なか展開の要素が強く、駿府城公園でのメイン企画「アンティゴネ」のほか、お城ステージ、学校ステージ、市役所ステージなど、都心で無料の野外演劇やダンスが開催され、小さな家型を散りばめたoff-Nibroll、笑えるパントマイムのシルヴプレ、DAZZLEなどの公演を見る。

写真:左中=off-Nibroll 左下=シルヴプレ 右=DAZZLE

2017/05/07(日)(五十嵐太郎)