artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

ロミオとジュリエット

会期:2016/12/10~2016/12/21

東京芸術劇場[東京都]

藤田貴大・演出「ロミオとジュリエット」@東京芸術劇場。誰もが知っている有名な物語のプロットだけに、おそらく可能な(ネタバレok)悲劇のエンディングから2人の運命の出会いの舞踏会に逆再生しつつ、同じセリフの反復を重ねていく実験的な構成である。舞台装置の転換がめまぐるしく、くるくると壁が踊るかのようだ。衣装はコムデギャルソン的な非対称や異物+かわいいで、これも印象に残る。

2016/12/11(日)(五十嵐太郎)

オペラ「眠れる美女~House of the Sleeping Beauties~」

会期:2016/12/10~2017/12/11

東京文化会館 大ホール[東京都]

俳優と歌手が同居する形式のオペラ「眠れる美女」@東京文化会館。フェミニズムから批判されている、老人が眠る美女と添い寝する川端康成の小説が原作である。垂直性がない日本の建築空間と、天井が高いオペラの舞台をどのように調整するかが課題だが、この作品では舞台を上下に分割し、横長フレームをつくり、日本家屋を表現しつつ、上でダンサーの官能的な踊りを展開し、下で記憶をたどる映像を流す。また天候を影で表現する障子のスクリーンなども美しい舞台のデザインだった。

2016/12/10(土)(五十嵐太郎)

フェスティバル/トーキョー16 ドーレ・ホイヤーに捧ぐ「人間の激情」「アフェクテ」「エフェクテ」

会期:2016/12/09~2016/12/11

あうるすぽっと[東京都]

スザンネ・リンケ構成・演出/ドーレ・ホイヤーに捧ぐ@あうるすぽっと。自殺したドーレ・ホイヤーの功績を掘り起こし、ダンスの歴史を意識しながら、未来へとつなぐ試みである。表現主義の舞踏を資料から再現した「人間の激情」は、平面的にも感じられる独自のポーズで抑制された動きだった。一方、後半の男女がダイナミックに絡みながら踊る二作品は、対をなすような印象で面白い構成である。

2016/12/09(金)(五十嵐太郎)

日本におけるキュビスム─ピカソ・インパクト

会期:2016/11/23~2017/01/29

埼玉県立近代美術館[埼玉県]

前半はキュビスムの影響を受けた戦前の作品群(未来派や表現主義など、他のイズムも混じるのが、遠いアジアでの受容を感じさせる)、中間にピカソやブラックを展示し、後半は「ゲルニカ」など、ピカソが1950年代の日本に与えたインパクトを検証する。あまりにピカソ的な作品(いまならパクリと言われるかもしれない)から、そんなにキュビスム風かな? と思う作品まで、それぞれの時代精神をあぶり出す。

2016/12/09(金)(五十嵐太郎)

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ザ・フィルハーモニクス

東北大学百周年記念会館 川内萩ホール[宮城県]

卒計イベントで何度も壇上側にいたが、音楽ホールとして観客側から見たのは初めての体験だった。演奏者が7名のみだと、ステージが広く感じられる。器楽のアンサンブルゆえに、冒頭の曲からメンバーが歌い出して驚く。かなり娯楽よりの内容だが、クラシックのコンサートが形式化される以前の、大昔の演奏はむしろそうだったと『コンサートという文化装置』に書かれていたことを思い出す。

2016/12/08(木)(五十嵐太郎)