artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
池袋チャイナタウン
[東京都]
東北大の留学生が修士論文で池袋の中華街を調査していたことを思い出し、久しぶりに駅の西口北のあたりを散策した。確かに繁華街に混ざって、中華系のお店がいくつか散見される。ただし、観光客向けにはっきりとチャイナタウンのアイデンティティが可視化された横浜の中華街とは全然違う雰囲気で、むしろ本当に中国人向けの感じだ。駅前に戻ると、反外国人のデモに遭遇する。日本を愛するらしい人たちがあんなに汚い日本語を大声でがなりたてるのはどうなのか。
2016/12/03(土)(五十嵐太郎)
何者
映画『何者』は、就活を題材としながら、140字の世界観に縛られたTwitter人間の主人公を軸に、SNS、ネット時代における仲間の微細な関係性を描く。『桐島、部活やめるってよ』の原作でもある朝井リョウならではの世界である。就活とは、可能性にあふれた何者でもない学生から、道を決める/決めさせられる社会人への日本的で集団的な通過儀礼だが、当事者なのか、大人なのか、世代によって映画の見え方はだいぶ違うだろう。
2016/12/01(木)(五十嵐太郎)
ミュージアム
タイトルに興味をもって見た映画『ミュージアム』は、確かに最後まで飽きずに見ることができる小栗旬の熱演だし、『セブン』的な展開だったが、一番のラストは観客を驚かせるための小細工に思え、物語の一貫性や、作品が獲得しうる可能性としては疑問だった。ただし、原作は少し違うらしい。またアーティストを気どった殺人者によるアート殺人が売りなのにもかかわらず、美術の設定がさほど洗練されていない。狂気を描いた今年の映画としては、同じく漫画を原作にしたものだが、『ヒメアノ~ル』の方が強烈だった。
2016/12/01(木)(五十嵐太郎)
名知聡子「Good-bye and thank you for everything」
会期:2016/11/23~2016/12/19
8/ART GALLERY/Tomio Koyama Gallery[東京都]
札幌から東京へ。渋谷の8/ART GALLERYで名知聡子展「さよなら、ありがとう」。夏に名古屋で見た息をのむような大型の肖像作品も場所が変わると、少し違って見える。審査で関わった「新進アーティストの発見inあいち」以来、各地で見てきたが、対象をはっきりさせない点描のテクスチャーが今回登場していた。
2016/11/28(月)(五十嵐太郎)
クリストとジャンヌ=クロード展
会期:2016/10/05~2017/01/29
札幌宮の森美術館[北海道]
クリストの展覧会をやっていたので、札幌宮の森美術館へ。彼の活動をたどる内容で、知らない作品にも出会い、収穫はあったが、何よりも驚いたのは結婚式場・チャペルに付属する美術館だったこと。これが微妙な古典主義+大胆な壁画の建築で、ここのデザインは収蔵するアート作品並みだとよいのだが。
2016/11/28(月)(五十嵐太郎)