artscapeレビュー
建築学生ワークショップ明日香村2016 公開プレゼンテーション
2016年10月15日号
会期:2016/09/04
キトラ古墳壁画体験館 四神の館[奈良県]
キトラ古墳壁画が公開間近の関連施設において、建築学生ワークショップ明日香村2016の最終プレゼンテーションに審査員として参加する。構造デザインや素材の批評もふんだんに織り込まれ、施工・制作のセコンド、サポーターもつく、実物をつくるこのワークショップは本当に面白い。中間講評では、抽象的であっても、学生は必ずやモノと向きあい、建築的なかたちをつくらねばならない。なお、最終結果は平均的というか妥当なラインで、ほぼ予想どおりになった。チームワークもよく、竹のしなやかで強い性質を生かした螺旋状のかたちの、もっとも美しい2班が最優秀賞である。そして中間発表の案どおりに、ひもで繋いだ木の集合を堅実に成立させた8班が優秀賞になり、提示した風のイメージを真面目に検討した7班が特別賞だった。ただし、個人的にもっとも印象に残ったのは、審査の直前に強風で倒壊してしまった1班の作品である。ほかの案がリスクをとらない方向になったのに対し、ぎりぎりの構造に挑戦し、一番高い構築物になっていた。なので、持ち点100は、あえて1班に85点、2班に10点、8班に5点と、かなり差をつけて投票した。
写真:上から、最優秀賞の2班、優秀賞の8班、1班
2016/09/04(日)(五十嵐太郎)